赤外線(せきがいせん:infrared rays)は可視光線と電波の間の電磁波(波長0.7μm-1mm)で、可視光線の赤色より波長が長く(周波数が低い)、電波より波長の短い(周波数が高い)電磁波のことで人の目では見ることができません。
赤外線は波長によって近赤外線(0.7~2.5μm)、中赤外線(2.5~4μm)、遠赤外線(4~15μm) 、超遠赤外線(15~1000μm)に分類されています。遠赤外線と超遠赤外線を遠赤外線ということもあります。
近赤外線
近赤外線は可視光線に近い性質を持ち、直接肉眼で見ることはできませんが、カメラなどを使うと見ることができます。
可視光線の赤色より波長が長く(周波数が低い)、遠赤外線より波長の短い電磁波のことで人の目では見ることができない光ともいわれています。 波長 0.7~2.5μmの可視光(赤)に近い電磁波です。
主な用途
光ケーブルであるガラスの中を散乱されずに遠くまで届くことから光通信に使用されます。
近赤外線に感光するカメラ・映像装置を用いることで、人間には見えないものを見ることができ、夜間に近赤外線光源(見えない)で照射し、被写体に気付かれない撮影が可能です。 暗視装置、ナイトビジョンなど。
近赤外線の光を利用してデータを転送する無線通信技術で、短距離の通信に適しています。
中赤外線
この領域の電磁波は数100K以上の高温物体から放射されるので、温度測定などに使用されます。
遠赤外線
遠赤外線は近赤外線よりも波長が長く電波よりも電波より波長の短い電磁波で熱線ともいます。波長は4~1000μm。
遠赤外線は室温の物体が放射する波長(8-12μm程度)を含むことから、調理や暖房などの加熱に利用されます。(詳細はプランクの実験を参照してください)
主な用途
暖房
電気ストーブ・パネルヒータ・電気コタツ・電気カーペット
加熱・乾燥・焙煎
家庭用 電気オーブン・電子レンジ(遠赤外線ヒータ併用)・ 電気炊飯器・トースタ
遠赤外線はなぜ物を温めるのか
遠赤外線の周波数が分子の振動(格子振動)と一致すると遠赤外線のエネルギーが吸収(共鳴吸収)され、分子の振動を増加させることから温度が上がるわけです。
ある物質の振動(格子振動)が遠赤外線の振動周波数と共鳴することが、遠赤外線が加熱・乾燥などに広く利用される基本なのです。
遠赤外線以外の振動周波数数(波長)では、物質の振動周波数数と大きく異なることから加熱できないのです。
赤外線の発見
イギリスの天文学者ハーシェル(Frederick William Herschel)が、太陽光をプリズムに通して虹色(分光)の各色の温度を測定していたとき、色のない部分が最も温度が高いことを発見しました。ハーシェルはこれに「calorific rays」と名づけ1800年にロンドン王立協会(おうりつきょうかいThe Royal Society of London)に報告しましたました。これが赤外線を実験的に見出した最初です。
赤外線センサ
赤外線領域に対しサーモパイルやサーミスタなどの熱型素子が使用でき、光通信に使用する近赤外線の検出にはシリコンやゲルマニウム半導体が使用され、赤外線の光源には発光ダイオードや半導体レーザが使用されています。