1)有機化合物と無機化合物
炭素C含む化合物を有機化合物といい、炭素以外の元素からなる化合物を無機化合物と区別している。
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有機化合物 |
無機化合物 |
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化学結合 |
共有結合による分子からなる |
イオン結合による塩からなる |
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融点 |
一般に融点は低い(300℃以下)。高温では分解しやすい。 |
一般に融点は高い(300℃以上)。 |
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水溶性 |
一般に水に溶けにくく、有機溶媒に溶けやすい。 |
一般に水に溶けやすく、有機溶媒に溶けにくい。 |
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電離 |
一般に非電解質 |
一般に電解質 |
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燃焼 |
可燃性のものが多い |
不燃性のものが多い |
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反応性 |
反応は遅く、完全に進行しにくい。副反応が起こりやすい。 |
反応は早く、完全に反応するものが多い。 |
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2)有機化合物の構造
有機化合物を構成する原子の原子価(手の数)
炭素と炭素の結合
炭素原子間の距離は、単結合が最も長く、三重結合が最も短くなる。単結合は飽和結合、二重結合と三重結合は不飽和結合ともいう。また四重結合は立体構造的に無理が生じるので存在しない。
結合と立体構造
単結合は正四面体構造がつながった形になる。結合を軸にして自由回転できる。 二重結合は平面構造、三重結合は直線構造
3)炭化水素の分類
炭素と水素からなる化合物を炭化水素といい、炭化水素は全ての有機化合物の母体をなす重要な化合物であり、次のように分類される。
構造や、炭素原子間の結合の種類による分類
構造による分類 |
鎖式炭化水素 |
C原子が鎖状につながった構造の化合物 |
環式炭化水素 |
C原子がつながって環をつくっている化合物 |
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結合による分類 |
飽和炭化水素 (アルカン) |
C原子間の結合はすべて単結合である化合物 |
不飽和炭化水素 (アルカン,アルキン) |
C原子間に二重結合や三重結合を含む化合物 |
脂肪族と芳香族
ベンゼン環(6個の炭素原子からなる特殊な環状構造)を分子中に含む有機化合物を芳香族、それ以外を脂肪族という。
官能基や基による分類
炭化水素の水素原子を他の原子または原子団で置き換えるといろいろと性質の異なる化合物ができる。例えば、炭化水素であるメタンCH4は水に溶けない気体だがメタンからH原子1個をOH(ヒドロキシ基)で置き換えたメタノールCH3OHは、液体でよく水に溶ける性質がある。炭化水素にヒドロキシ基のような特定の原子団が結合すると、化学的性質の良く似た一群の化合物ができる。このように、化合物の性質を特徴づける特定の原子団を官能基という。
ヒドロキシ基 |
―OH |
カルボキシル基 |
―COOH |
スルホ基 |
―SO3H |
アルデヒド基 |
―CHO |
ニトロ基 |
―NO2 |
エーテル結合 |
―O― |
カルボニル基 |
―CO― |
アミノ基 |
―NH2 |
エステル結合 |
―COO― |
炭化水素からH原子が外れた形の原子団を炭化水素基または単に基という。また、アルカン(単結合のみでできている炭化水素)から、水素原子を1つ外した炭化水素基を特にアルキル基という。下の例では、メチル基,エチル基,プロピル基がアルキル基になる。
4)有機化合物の表し方
分子式 ・・・ 分子をつくっている元素の種類と数を表した式。
示性式 ・・・ 分子式の中から官能基を抜き出して明示した式。
構造式 ・・・ 分子中の個々の原子の結合の仕方を価票を用いて明示した式。
例…エタノール
5)異性体
分子式が同じで性質が異なる化合物を、互いに異性体という。
構造異性体
分子式が同じで構造式が異なる異性体。
立体異性体
原子のつながり方や結合の種類は同じであるが分子の立体構造が 異なる異性体。幾何異性体(シスートランス異性体)と光学異性体がある。
例CH3-CH=CH-CH3 の幾何異性体
二重結合をはさんで、同種の原子や原子団が同じ側にあるものをシス型,反対側にあるものをトランス型という。この両者は、二重結合の部分で自由回転ができないために生じる異性体である。
6)数詞を覚える ・・・ ギリシャ語で1から10まで覚える。
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
mono モノ |
di ジ |
tri トリ |
tetra テトラ |
penta ペンタ |
hexa ヘキサ |
hepta ヘプタ |
octa オクタ |
nona ノナ |
deca デカ |