元素分析などによって分子式がわかったら、構造式を決定することになります。有機では、同じ分子式であっても構造が違うものがいろいろあることが非常に多いから、構造までちゃんと決めてあげなくてはいけない。分子式が同じでも違う構造式が2つ以上存在するとき、互いに異性体といいます。
C5H12の分子式をもつ異性体を考えてみましょう。
この3つですべてです。といっても全くそっくりである必要はないよ。伸ばしたり回転したりして同じ形になれば、それらは同一の物質です。
たとえば、
一見、違うように見える物質だけど、2つとも (1) と同一の物質。頭の中でこれらの両端を伸ばすようなイメージをしてごらん。(1) になるでしょ。それに対し、(2) や (3) は伸ばしたり回転したりしても絶対に (1) にはならない。(2) についても、以下は同一物質。
書こうと思えばいくらでもいろんな形で書ける。でも全く同じ者同士。ただ、普通こんな変な形で書かないからね。(1) ~ (3) のようにわかりやすい形で表しましょう。
Cの数が増えると途端に異性体の数が急増します。だから、思いつくままに書き出すと、抜かしたり、ダブったりする恐れがある。そこで、ある程度の規則性に基づいて書き出すとミスを防ぐことができます。それは、
主鎖(最も長い炭素鎖のこと)の長い順に書く。
主鎖を書いたら側鎖(枝分かれ部分のこと)の位置を変えていく。
僕は、ときどき主鎖のことを「背骨」とよびます。この方がイメージしやすいと思うので。