理系の雑学・豆知識

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化学反応の速さとしくみ

化学-物質の変化

1)反応速度

化学反応の速度

単位時間あたりの反応物質の減少する量(mol,mol/l )。または、単位時間(秒)あたりの生成物質の増加する量(mol,mol/l )で表す。

反応速度v =

変化量

[mol/s]または[mol/ls]

反応時間

 

 例)ヨウ化水素が分解すると、水素とヨウ素が生成する。1.0 mol/lヨウ化水素は10後に0.8 mol/lになった。

 

2HI

H2

I2

初め

1.0 mol/l

 

0

 

0

 

10秒後

 

0.8 mol/l

 

 

0.1 mol/l  

 

 

0.1 mol/l  

 

反応量

 

-0.2 mol/l 

 

 

+0.1 mol/l 

 

 

+0.1 mol/l 

  10秒後の各物質の量は表の①,②,③の順で決定していく。①から②は反応式の係数から計算する。

 

ああああああああ反応速度

 

HIに関して・・・ HIの分解速度 =

0.2

= 0.02[mol/ls]

10

H2に関して ・・・ H2の生成速度 =

0.1

= 0.01[mol/ls]

10

I2に関して ・・・ I2の生成速度 =

0.1

= 0.01[mol/ls]

10

 

問題17 過酸化水素H2O2の水溶液に酸化マンガン(Ⅳ)MnO2を加えると、過酸化水素が分解して、水と酸素を生じる。いま、過酸化水素の水溶液100mlに酸化マンガン(Ⅳ)を加え、一定時間が経過したのち10秒間に発生した酸素の体積を測定すると、その体積は標準状態で56mlあった。次の各問いに答えよ。

(1)この反応を化学反応式で表せ。

(2)この10秒間に酸素が発生する速さをmol/s単位で表せ。

(3)この10秒間に過酸化水素が分解する速さをmol/ls単位で表せ。ただし、水溶液の体積変化はないものとする。

 

(1)酸化マンガン(Ⅳ)MnO2は触媒といい反応速度を速めるために(速やかに反応が進行するように)加えてあり、反応そのものには関与していないので、化学反応式にはMnO2は入れない。

      2H2O2 →  H2O + O2

 (2)発生した酸素のモル数を計算して、時間(10秒)で割る。

標準状態で56ml = 0.056 lなので、

0.056

= 2.5×10-3[mol]

22.4

反応速度 =

2.5×10-3

= 2.5×10-4 [mol/ls]

10

 (3)分解した過酸化水素のモル濃度を求めて、時間(10秒)で割る。

    (2)より、生成したO2は2.5×10-3molなので、反応式の係数の比より、分解したH2O2は5.0×10-3mol。過酸化水素水の体積は100ml=0.100lだから、

分解した過酸化水素のモル濃度 =

5.0×10-3

= 5.0×10-2 [mol/l]

0.100

反応速度 =

5.0×10-2

= 5.0×10-3 [mol/ls]

10

2)反応速度を変える条件

化学反応の起こり方

 化学反応が起こるためには、原子,分子,イオンなどの粒子が衝突して、粒子の間で組換えが起こらなければならない。しかし、衝突するだけでは反応は起こらない。反応を起こすにはその反応に応じた一定のエネルギーが必要になり、これを活性化エネルギーという。反応物の粒子は、活性化エネルギー以上のエネルギーを得ると、エネルギーの高い状態を経て生成物に変わる。このエネルギーの高い状態を活性化状態という。

(例)反応式    H2 + I2 → 2HI

   熱化学方程式 H2(気) + I2(気) = 2HI(気) + 9.3kJ

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反応速度を変える条件

①濃度の影響

化学反応は物質を構成している粒子が互いに衝突しなければ起こらない。反応物質の濃度が大きいほど粒子の衝突する頻度が高くなるので、反応速度は大きくなる。

(例)H2 + I2 → 2HIの場合、反応速度はH2とI2のモル濃度[H2]と[I2]に比例することが実験により分かっている。これを反応速度式で表すと次のようになる。

 

     V = k[H2][I2]  kは反応速度定数

 (注)気体の場合、圧力を高くすると、体積が小さくなるので、単位体積中の分子数が増えるため、反応する分子間の衝突する回数が増えるので反応速度は大きくなる。(これは溶液の濃度を大きくするのと同じである)



②温度の影響

 

温度が高くなると反応速度は大きくなる。(温度を10℃上げると反応速度は2~3倍になることが多い)

<温度を上げると反応速度が大きくなる理由>

  温度を上げると分子の熱運動が大きくなり、衝突回数が増えることが考えられるが、それだけではない。温度が高くなると分子の運動エネルギーの分布が変わる(高いエネルギーをもつ分子が増加する)。このため、活性化エネルギー以上のエネルギーをもつ分子数が増え、分子が衝突したときに反応が進む割合が大きくなり、反応速度は急激に大きくなる。

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問題18

 A + B → Cの反応は、ある一定温度で、濃度[A]のみを3倍にすると反応速度は3倍になり、[B]のみを3倍にしたときも反応速度は3倍になった。また、[A]と [B]がそれぞれ3mol/lと2mol/lのとき、Cは毎分0.06 mol/lの割合で生じた。

 (1)速度定数をkとして、[A]と [B]を用いてCの生成速度vを記せ。

 (2)AとBの両方の濃度を2倍にすると、反応速度は何倍になるか。

 (3)速度定数kを求めよ。

 (4)[A]と [B]を初めにそれぞれ5mol/lと4mol/lにすると、Cは毎分何mol/lの割合で生じるか。

 (5)この反応は10℃上げるごとに3倍速くなる。反応温度を-10℃から10℃にすると、反応速度は何倍になるか。

 

 (1)「[A]のみを3倍にするとvは3倍、[B]のみを3倍にしたときもvは3倍になる」これを満たす式を考える。 v = k[A][B]

 (2)2×2 = 4倍

 (3)v = k[A][B]より、0.06[mol/l分] = k×3[mol/l]×2[mol/l] ,k = 0.01[l/分mol]

 (4)v = 0.01[A][B]より、v = 0.01×5×4 ,v = 0.20[mol/l]

 (5)温度変化は10-(-10)=20[℃]、10℃上昇ごとに3倍早くなるので、32=9倍

 

問題19

A + B → 2Cで表される気体反応がある。この反応について、次の実験事実が得られた。

 (1)Aのモル濃度を2倍にするとCの生成速度は4倍になる。

 (2)Bのモル濃度を2倍にするとCの生成速度は2倍になる。

問1 A、Bのモル濃度を[A]と [B]、反応速度定数をkとしてCの生成速度をvを反応速度式で表せ。

問2 反応容器を圧縮して全圧を3倍にするとCの生成速度は何倍になるか。

 

問1 (1),(2)の内容を満たす式を考える。v = k[A]2[B] (v = k2[A][B]ではだめ)

問2 32×3 = 9倍

 

③触媒の影響

 触媒・・・自身は変化しないが、反応速度を変化させる物質

      反応速度を大きくする→正触媒

      反応速度を小さくする→負触媒

      ☆単に触媒といった場合は正触媒である。

 

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 触媒は反応物と弱い結合で結合して、不安定な反応中間体をつくり、これから生成物ができるとともに、触媒が再生する。そのため、触媒がないときよりも活性化エネルギーが小さくなるので反応速度は大きくなる。しかし、反応熱は変わらない。

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主な触媒

  反応の種類

   反応式

  触媒(主成分)

アンモニア製造(ハーバー法)

N2+3H2→2NH3

  Fe3O4(四酸化三鉄)

硝酸製造(オストワルト法)

4NH3+5O2→4NO+6H2O

  Pt(白金)

硫酸製造(接触法)

2SO2+O2→2SO3

(五酸化バナジウム)  

過酸化水素の分解

2H2O2→2H2O+O2

MnO(二酸化マンガン)

カタラーゼ(酵素:生体内触媒)

メタノールの合成

CO+2H2O→CH3OH

CuO+ZnO(酸化銅(Ⅱ)+酸化亜鉛)

 

☆酵素・・・生体内の化学反応反応(食物の成分の消化など)や発酵食品の製造(アルコール発酵など)では生体内に存在する特殊なタンパク質が反応の触媒となる。この生体内での反応を触媒するタンパク質を酵素と言う。