ザイツェフ則とは:定義やマルコフニコフ則との違いを解説

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 これは、2-ブタノールです。この分子内脱水について考えてみよう。-OH基は隣りのC原子についている-Hとともに水分子H2Oとして脱離するんだったよね。

 ただし、-OH基が2-ブタノールのようには端にない場合、左にも右にも-Hがある。どっちを選ぶかで違う物質ができてしまう。いったいどっちを選ぶのか。

 どっちもあるんです。左を選ぶときもあれば、右選ぶときもある。ただし、片方が優先される場合がある。つまり、ひとつが主生成物として、もうひとつが副生成物となる場合がある。それを決定するためにこのザイツェフ則があるんです。

 

 ~ザイツェフ則~

 アルコールの脱離では、-OH基の結合したC原子の両隣りのC原子のうち水素原子の数の少ない方からH原子が優先的に失われ、こちらが主生成物となる。

 ってことは、上の反応では左のCにH3つ、右のCにH2つだから、より少ない右側からHが取れやすい。ということは、黄色の脱離が優先され、その結果2-ブテンが主生成物、1-ブテンが副生成物になる。 

 「少ない方から」ってのが重要なんです。何でかというと、【マルコフニコフ則】っていう似た話があるからです。こっちは「多い方から」だから、両方勉強すると混乱しちゃうんだよね。

 ちなみに、厳密に言うとザイツェフ則っていうのは、別に脱水だけではなく、H-Xの脱離すべてに当てはまることなんです。ただ、標準レベルまでならH-OH、つまりH2Oがほとんどなので、あえて定義を狭くしました。