絶対に避けては通れない、有機前半の3大検出反応の2つの登場です。あえて2つの反応を一緒に記述するのは、結局は同じことを確かめる反応だから。どっちでもいいわけです。
では、「同じこと」とは何か。もったいぶらずに言いましょう。どちらも
「還元性」
を調べる検出反応なんです。そして、有機で「還元性」と言えば?
「アルデヒド」
ですよね。
だから、 「銀鏡反応」「フェーリング反応」→アルデヒドは鉄則です。ただし!これには落とし穴がある。「アルデヒド」ではないのに還元性を示す有機化合物があるんです。ある程度のレベルまでだったら、1つ覚えれば十分です。それは・・・。
「ギ酸」
です。カルボン酸であるにもかかわらず、こいつは還元性を示す。なぜか。それは、構造式を書いてみると納得できる。
当然、-COOH基をもっている。ところが・・・
実は、隠れた-CHO基ももってる!だから還元性を示すんです。
還元性→アルデヒド+ギ酸!
銀鏡反応もフェーリング反応も、この「還元性」によって何かが還元され、その生成物が目に見えるように工夫されているわけです。
では、それぞれの検出反応を詳しくみていこう。
◆銀鏡反応
アンモニア性硝酸銀水溶液に試料を加えて温めると、ジアンミン銀(Ⅰ)イオンが還元されて、銀が析出する。この反応により、試験管の内壁に銀が付着して鏡のようになる。
◆フェーリング反応
フェーリング液(硫酸銅(Ⅱ)水溶液と酒石酸ナトリウムカリウム+水酸化ナトリウム水溶液を等量混合したものに試料を加えて熱すると、銅(Ⅱ)イオンが還元されて、酸化銅(I)Cu2Oの赤色沈殿が生じる。
どちらの反応も必ず資料集にあるから、写真を見ておいて下さい。視覚に訴えるのは暗記に非常に有効です。
銀鏡反応では銀が出てくるのは当たり前だからいいでしょう。気をつけてほしいのは、フェーリング反応です。よくやるのが酸化銅(II)CuOと間違えてしまうことです。こっちは黒色沈殿です。なじみありますからね、ついついやってしまう。くれぐれも気をつけて。
あと、確認しておいてほしいのは、アルデヒド自身はこの反応によって自身が「酸化」されてカルボン酸塩になってるんだということ。たまにこのことを聞いてくる問題が出てきたりします。
最後に。気になってた人もいるでしょう。アルデヒドでないのに還元性を示す他の有機化合物。ギ酸に比べて、有機では還元性についてほとんど聞かれないから無理に覚えなくでもいいけど。「有機では」っていうのが大事です。実は理論分野のある範囲では超頻出の物質です。
それは、シュウ酸。
「酸化・還元」の範囲で出てくる還元剤のひとつです。還元剤なんだから還元性があるのは当たり前です。アルデヒド基はないんだけど還元性がある。これは別物扱いしてください。