◆モル(物質量)とは?
「化学」をマスターするために必ず越えなくてはいけない概念―、それが「モル」という化学特有の単位です。モルを自由自在に扱えない限り、化学は得意にはなれません。「モルを制する者は化学を制す!」です!スラムダンクじゃないですけど(笑)
さて、ここでいきなり質問です。「モルって何ですか?」
そう聞かれて、すぐに答えが出てこない人は、モルというものがよくわかっていない人です。中には、6.0×1023という数字を答える人もいるでしょう。確かに1molは6.0×1023ですが、「メートルって何ですか?」って聞かれて「100cm」では答えになりませんよね。「メートル」はもちろん「長さ」です。では、「モル」は何ですか?
「モル」は個数です。鉛筆が1本、2本、、、そして12本集まると「1ダース」ですね。12が1になる。こんなことはあり得ませんが、もし鉛筆が6.0×1023本集まったら、それは「1モル」です。
1モル(mol)=6.0×1023コ
では、なんでこんな莫大で中途半端な数字を1にしたのでしょう?
1円玉。私達にとってとても小さい硬貨です。ではこの1円玉は何コの原子からできているのでしょう?ただし1円玉は1gでアルミニウムからできています。
その答えは、1/23×6.0×1023=2.6×1022コです。こんな小さな1円玉でさえ、非常に多くの原子からできている。我々の世界と原子の世界ではスケールが全く違うわけです。原子の世界にとっては一円玉は超巨大な物体なんです。
ですから、鉛筆やリンゴ、本などと違って、原子を数えるときはどうしても莫大な数になってしまう。1円玉でさえ2.6×1022コです。我々の世界にあるものの原子の数をそのまま数えたらいつも気の遠くなる数字になってしまう。
「この物質は12×1023コの原子からできています」って言われたってピンとこない。もしこれをモルで表現するなら、「この物質は2モルです」 莫大な数がとても身近な小さい数字になってくれる。これがモルという単位の存在意義です。
莫大な数字になる理由はわかりました。ではなぜ6.0×1023などという中途半端な数字を選んだのでしょう?1.0×1023を1モルとしたってよさそうなものですよね。
炭素の単体である黒鉛が12.01gありました。この12.01gの黒鉛が何コの原子からできているのか調べました。その結果、6.0×1023コでした!そこでこれを1モルと決めたのです!
「おい、ちょっと待てよ」って言いたくなりますよね。そもそも何で12.01gなんて中途半端なグラム数もってきてそれを基準にするのよ?と思うのが普通です。でもこの12.01という数字を選んだ理由がなんとなくわかっている人もいるはずです。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | |
1 | H | He | ||||||||||||||||
2 | Li | Be | B | C | N | O | F | Ne | ||||||||||
3 | Na | Mg | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | Al | Si | P | S | Cl | Ar |
4 | K | Ca | Sc | Ti | V | Cr | Mn | Fe | Co | Ni | Cu | Zn | Ga | Ge | As | Se | Br | Kr |
5 | Rb | Sr | Y | Zr | Nb | Mo | Tc | Ru | Rh | Pd | Ag | Cd | In | Sn | Sb | Te | I | Xe |
6 | Cs | Ba | ~ | Hf | Ta | W | Re | Os | Ir | Pt | Au | Hg | Tl | Pb | Bi | Po | At | Rn |
7 | Fr | Ra | ~ |
ところで、周期表を見ると、各元素のところに小数点つきの数値があるはずです。それが「原子量」です。▲の周期表では小さすぎて書けませんでしたが、参考書などには必ず載っているはずです。「原子量」は基本的に覚えなくても問題の最初に書いてあるはずですが、よく出てくる元素については覚えていた方がよいです。というか勉強している間にだいたい覚えると思います。
炭素の原子量は12.01です。原子量とはいわば原子同士の重さの比率です。水素の原子量は1.008ですから、炭素原子は水素原子の約12倍の重さ。逆にいえば水素原子は炭素原子の約1/12倍の重さです。
先ほど、炭素の12.01gを1molとしました。ではこの場合、水素1molは何gでしょう?
12.01gが1molですから、6.0×1023コもの炭素原子がうじゃうじゃ含まれています。しかし気が遠くなるくらい多い炭素原子があってもその1つ1つは水素原子の12.01/1.008倍の重さ。ということは水素原子1コの重さは、炭素原子1コの1.008/12.01倍。そしてこの比率は何コであろうと変わりません。
炭素と水素が同じ数(1mol)だけあるのですから、水素1molの重さは?炭素の重さの1.008/12.01倍。つまり、12.01×1.008/12.01=1.008 水素の原子量と全く同じです!
なぜ炭素12.01gを1molとするのかわかりましたか?そうすることで、原子量が1モルの重さになるからです!周期表を見て原子量をチェックしさえすれば、あらゆる物質1molの重さがわかるんです。鉄1molの重さは?O21molの重さは?水1molの重さは?塩化ナトリウム1molの重さは?砂糖1molの重さは?すべてがすぐにわかるんです。
たとえば、鉄はFeですから、原子量は55.85。ということは鉄1molは55.85gです。酸素分子O2は、16×2=32より、酸素分子1molは32g。塩化ナトリウムは化学式でNaClですから、23+35.5=58.5より、1molでは58.5g。すぐに出てきますよね。
さて、酸素分子は「分子」ですから正確には「原子量」ではなく「分子量」です。またNaClなどの化合物では「式量」です。といっても結局は化学式に含まれる原子の原子量の和ですから、同じように考えてしまって構いません。これから、ときどき「原子量」という言葉が出てきますが、「分子量」や「式量」も含めて表しているものとして考えてください。
さて、ここで1つ疑問がまだ残っています。なぜ炭素を基準としたのか。これについては実は水素や酸素を基準にしようとする意見もあったのですが、結果として炭素が選ばれたのです。たとえ何が選ばれようと、ここで大事なのはこれによってモルが原子量とという掛け橋によって、重さの単位であるグラムと強く結びついたということです。
◆モルと原子量と質量の関係
モルが原子量によって質量と強く結びついた、というのはどういうことでしょう?それは、モルがわかれば質量がわかるし、質量がわかればモルがわかるということです。そしてこの2つの単位を結び付けているのが原子量です。
この関係を図で表してみましょう。
上の図は左の単位を記号で表したもの。決まりではないが、化学では各々の単位を表す英字記号がある程度決まっている
モルの日本語は「物質量」です。上の図を見ればわかるように化学では「~量」という名前が次々と出てきます。「物質量」「原子量」「分子量」「式量」などなど、、、。ですから混乱しないようにはっきりと区別できるようにしましょう。このサイトでは混乱を避けるためになるべく物質量は「モル」や「モル数」などと表現しています。
質量を求めたい場合は、上図の「質量」を隠します。するとモル(物質量)と原子量が横に並んでる。これは「積」を意味します。つまり、
質量=モル×原子量
今度は、モルを求めたい場合。上図の「物質量」を隠すと、質量が上に原子量が下にある。これは「割る」ことを意味します。つまり、
モル=質量/原子量
まだすぐにこの関係が頭の中で出てこない人は、しばらくは上図を書いて今のように考えるようにしてください。ここの関係がすぐにわからないと計算がどおしても遅くなってしまいます。
では実際に問題を解いてみましょう。
(1) 次の物質の質量を求めよ。
1) 0.1molのH2 2) 6.0×1023個のH2O 3) 1.0×1023個の鉄原子
(2) 次の物質の物質量を求めよ。またそれぞれの粒子の個数を求めよ。
1) 1gのH2 2) 1gの水 3)1gの鉄
(1)
1) 質量ですから、モル×原子量=0.1×2=0.2(g)が正解。ここでは水素”分子”ですから正確には「原子量」という言葉よりも「分子量」という言葉が適切です。といっても結局は同じことです。これについては後で記述します。
2) 6.0×1023個ということはこれは1molです。1molの質量は原子量と同じですから、水の原子量(これについても本当は「式量」が正しい言葉です)は1+1+16=18なので、18gが正解。
3) さて1.0×1023個は何molでしょうか?6.0×1023個で1molですから、1.0×1023個は1.0×1023/6.0×1023=1/6(mol)です。あとはこれに原子量55.85をかければ、1/6×55.85=9.3(g)
(2)
1) 物質量とはモルのことですね。上の式からモル=質量/原子量なので、1/2=0.5(mol)。分子の個数は、0.5×6.0×1023=3.0×1023(個)
2) 同じようにして、1/18=5.6×10-2(mol)。水分子の個数は、1/18×6.0×1023=3.3×1022(個)
3) 1/55.85=1.8×10-2(mol)。鉄原子の個数は、1/55.85×6.0×1023=1.1×1022(個)
◆モルは他の単位へのパスポート
ここまでで、「モル」と「個数」「質量」「原子量」との関係がわかりました。ここに「体積」が付け加えられます。ただしここでいう体積は「ただし書き」があって、気体の標準状態のみを指します。標準状態というのは0℃・1atmの状態をいいます。標準状態ではどんな気体であろうと、1mol=22.4l(リットル)です。水素だろうと酸素だろうと窒素だろうと二酸化炭素だろうとメタンだろうと、何の気体だろうと標準気体なら、6.0×1023コの粒子が集まるとその種類に関係なく、体積が22.4lになります。
化学ではこの標準状態という言葉がよく出てくるので必ず覚えておきましょう。
「モル」と他の四つの単位「個数」「質量」「原子量」そして「体積」との関係を図で表してみます。
モルが他の単位の橋渡し的存在になっていることに注目してください。
まず、図の左側は先ほど出てきた3つの単位の関係を表しています。他の2つから残りの1つの数値が出てくるので、いわば”三国同盟”のような感じですね。
一方、右側には一番はじめに出てきた粒子の個数との関係と、そして最後に出てきた気体の体積との関係。モルが他の4つの単位を見事につなげているのがわかりますよね。このことだけでも「モル」という単位の重要さが実感できます。
モルに「原子量」をかければ「質量」に、「6.0×1023」をかければ「粒子の個数」に、そして「22.4」をかければ「気体の体積」になる。モルがわかれば、もともとわかっている「原子量」を除いた他の3つの数値をすべて計算することができるわけです。
モル ×原子量 →質量
モル ×6.0×1023 →粒子の個数
モル ×22.4 →気体の体積(標準状態)
ということは、4つの単位のうちの1つでも求まりさえすれば、他の3つを求めることができる。たとえば、「質量」がわかっていればそこから「モル」が出てきて、そして「粒子の個数」とそれが気体であれば「体積」も求めることができるわけです。これこそモルの真骨頂です。「モル」という1つのパスポートによって、他のいろいろな場所(単位)に行くことができるんですね!
それを実感してもらうためにも、例題を解いてみましょう。
(1) 次の物質の質量と粒子の個数、気体であれば標準状態での体積を求めよ。
1) 0.25molの水 2)0.50molの二酸化炭素 3)0.50molの塩素
(2) 1) 2.2gのCO2の標準体積での体積、また分子の個数をそれぞれ求めよ。
2) 448mlの窒素のモル数を求めよ。またその分子の個数を求めよ。
3) 6.0×1022個のH2O分子のモル数を求めよ。また標準状態での体積を求めよ。
(1)
1)質量=モル×分子量より0.25×18=4.5(g)、個数=モル×6.0×10より0.25×6.0×1023=1.5×1023(個)、体積=モル×22.4より0.25×22.4=5.6(l)。
2)同様にして、質量0.50×44.0=22(g)、個数0.50×6.0×1023=3.0×1023(個)、体積0.50×22.4=11.2(l)。
3)質量0.50×71.0=35.5(g)。個数と体積は、物質の種類に関係なくモル数のみに依存するので、2)と全く同じ3.0×1023(個)、11.2(l)です。
(2)
1)モル=質量/分子量なので、2.2/44.0=0.05(mol)。よって体積は0.05×22.4=1.12(l)、個数は0.05×6.0×1023=3.0×1022(個)。
2)体積が与えられてますが、ここでは”l”ではなく”ml”で与えられます。そこで22.4l=22400mlなので、448/22400=2.0×10-2(mol)。間違えて22.4で割ると計算をミスすることになります。モル数が出たのでこれに6.0×1023をかけて2.0×10-2×6.0×1023=1.2×1022(個)。
3) 6.0×1023個で1molですから、この値で割ればモル数が出てくる。6.0×1022/6.0×1023=0.10(mol)。よって体積は0.10×22.4=2.24(l)。
この例題では、1)モル数→質量、個数、体積が自動的に出てくること、2)モル数を経由する事で他の値が出てくる(質量→モル数→体積など)こと、の2つを学びました。このプロセスはモル計算の”核”です。いろいろな分野でモル計算が出てきますが、結局はこの繰り返しであることを後で実感できるはずです。
◆モルと化学反応式
化学は反応の科学です。化学反応式は、目で直接見ることのできない反応を記号化することで何が何と反応して、何を生じるのかが一目でわかります。そして化学反応式の最も重要な点は、反応物がどのくらい反応し、そしてどのくらいの生成物が生じるのかを正確に求めることができることです。「何が」だけでなく、「どのくらい」という”量”を求められることこそが化学反応式の真髄です。そして、この”量”がモルによって表現されることで、モルと化学反応式は強力な関係を築きあげることができます。
CH4+2O2→CO2+2H2O
上の式はメタンが燃焼する式です。燃焼とは酸素と反応することなので、メタンと酸素が反応物、そして二酸化炭素と水が生成物です。大事なのはこれらがどのくらい反応してどのくらい生成するのかということ。
化学反応式が教えてくれる最も重要な情報は、「係数比」です。ここではそれぞれの係数が1,2,1,2。この数字から、1コのメタン分子が2コの酸素分子と反応し、1コの二酸化炭素と2コの水分子が生じる、ということがわかる。もし2コのメタン分子ならば4コの酸素分子と反応し、2コの二酸化炭素と4コの水が生じる。ではもし6.0×1023コのメタン分子なら12.0×1023コの酸素分子と反応し、6.0×1023コの二酸化炭素分子と12.0×1023コの水分子が生じる。つまりこれは1molのメタン分子と2molの酸素分子が反応して1molの二酸化炭素と2molの水が生じることと同じです。このことから、「係数比」=「反応モル比」が成り立つということがわかります。
ですから、化学反応式の係数から、反応するモル数の割合がすぐにわかる。ということは、式中の4つの物質の1つでも反応するモル数がわかればその比から全部求まるわけです。たとえば、「メタンが0.1mol反応した」なら、酸素は0.2mol消費され、二酸化炭素は0.1mol生成し、水は0.2mol生成するとすぐにわかる。逆に「二酸化炭素が0.5mol生成した」なら、メタンは0.5mol消費され、酸素は1.0mol消費され、水は1.0mol生成するとわかる。
(1)
1molのエタンC2H6と4molの酸素を密閉容器に封入して燃焼したところ、二酸化炭素と水が生じた。生じる二酸化炭素と水のモル数を求めよ。また残存する反応物があればその名称とモル数も求めよ。
(2)
エタン4.48lを過剰な酸素と反応させた。生成する二酸化炭素の体積および生じる水の質量を求めよ。ただし反応前後とも標準状態での測定とする。
(1)
まずはじめにすべきことは、反応式をつくることです。「反応式をつくるのがどうも苦手で、、、」という人もいるかもしれませんが、化学を勉強しているうちに反応式をたてることはそんなに大変ではないことがわかってくるはずです。慣れでつくれるようになるんですね。それよりも反応式を使いこなせるようになる方がずっとずっと大事です。
2C2H6+7O2→4CO2+6H2O
これがエタンの燃焼の反応式です。なぜこの式になるのかわからない人も、とりあえずおいといて、この式からどんな情報が得られるのかということに集中してください。
さて、問題から得られた情報は、エタンが1molに酸素が4mol。この2つの数字を見て、どちらがどれだけ残るかすぐにわかるでしょうか?反応式から係数比は2:7ですから、エタンと酸素は2:7のモル比で反応する。
もし酸素がすべて消費されたとすると、必要なエタンのモル数は4×2/7=8/7molで、細かい数値を出さずとも、もともとの値である1molを超えてしまっていることがわかります。つまり、酸素がすべて消費されることはあり得ない、ということです。
逆に、もしエタンがすべて消費されたとすると必要な酸素は1×7/2=3.5molで、もともとの値である4molを越えていない。つまり、1molのエタンはすべて反応し、酸素は4molのうちの3.5molが反応し、0.5molが反応せずに残る、とわかる。
これまでのデータを表でまとめてみましょう。反応によるモル変化をチェックするのに表を書くことは非常に強力なやり方です。面倒くさがらずに表を書くことを強くお勧めします。
2C2H6 | +7O2 | →4CO2 | +6H2O | |
はじめ |
1
|
4
|
0
|
0
|
変 化 | ||||
おわり |
「はじめ」とは反応前の状態のことです。まだ反応してないのですから、右辺り二酸化炭素と水は0のままですね。
2C2H6 | +7O2 | →4CO2 | +6H2O | |
はじめ |
1
|
4
|
0
|
0
|
変 化 |
-1
|
|||
おわり |
「変化」とは左辺では消費されるモル数、右辺では生成するモル数のこと。左辺は消費されるわけですから当然「-」がつきます。また右辺は当然「+」です。この変化は反応比に従うのでこの部分の絶対値は必ず係数比に比例します。さきほどエタンがすべて消費されることがわかったので、「-1」が記入されています。
2C2H6 | +7O2 | →4CO2 | +6H2O | |
はじめ |
1
|
4
|
0
|
0
|
変 化 |
-1
|
-3.5
|
+2
|
+3
|
おわり |
よくはじめの値が係数比に比例するとカン違いする人がいます。それは反応物がちょうど過不足なく反応するときにたまたまそうなるだけで、このようにどちらかが残る反応では、比例しません。あくまでも係数に比例するのは「変化」の部分です。
2C2H6 | +7O2 | →4CO2 | +6H2O | |
はじめ |
1
|
4
|
0
|
0
|
変 化 |
-1
|
-3.5
|
+2
|
+3
|
おわり |
0
|
1.5
|
2
|
3
|
あとは「はじめ」から「変化」の値を単純にひけば「おわり」の値がでてきます。「終わり」とは反応後のモル数です。これで二酸化炭素が2mol、水が3mol、そして酸素が1.5mol余るとすぐにわかります。表を書くことの大事さがわかりましたか?
(2)
(1)と全く同じ反応ですが、今度は酸素が過剰なので必ずエタンが消費されることになります。エタンのモル数は、4.48/22.4=0.05molです。これを表で表すと、
2C2H6 | +7O2 | →4CO2 | +6H2O | |
はじめ |
0.2
|
–
|
0
|
0
|
変 化 |
-0.2
|
-0.7
|
+0.4
|
+0.6
|
おわり |
0
|
–
|
0.4
|
0.6
|
酸素は過剰なので特に記述する必要はありません。ここでは「-」で表現しています。変化は係数比からそれぞれわかり、おわりは、二酸化炭素が0.4mol、水が0.6mol生成するとわかりました。
ここでは、二酸化炭素の「体積」と、水の「質量」を聞かれています。もういいですよね?モル×22.4→体積、モル×分子量→質量ですから、0.4×22.4=8.96(l)、0.6×18=10.8(g)。
この例題では、ある物質のモル数から、反応式の係数比を利用してそれぞれのモル数を求めることができること、そしてある物質のモル数以外の単位、つまり質量や体積、個数などのデータであっても、以前に学んだ知識によってそれらをモル数に変換し、他の物質のモル数、そしてそれをさらに他の単位に変換することが可能になったわけです。
以前に「モル」は「質量」「体積」「個数」など他の単位への”パスポート”と表現しましたが、化学反応式はいわばそれらを好きなところに運んでくれる”飛行機”のようなものです。”エタン”という国のデータをモルに換算する事で、”酸素”や”二酸化炭素”などの他の国のデータに書き換えてくれるわけです。