1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | |
1 | H | He | ||||||||||||||||
2 | Li | Be | B | C | N | O | F | Ne | ||||||||||
3 | Na | Mg | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | Al | Si | P | S | Cl | Ar |
4 | K | Ca | Sc | Ti | V | Cr | Mn | Fe | Co | Ni | Cu | Zn | Ga | Ge | As | Se | Br | Kr |
5 | Rb | Sr | Y | Zr | Nb | Mo | Tc | Ru | Rh | Pd | Ag | Cd | In | Sn | Sb | Te | I | Xe |
6 | Cs | Ba | ~ | Hf | Ta | W | Re | Os | Ir | Pt | Au | Hg | Tl | Pb | Bi | Po | At | Rn |
7 | Fr | Ra | ~ |
銅は、非常に身近な金属の1つです。赤みを帯びた独特の色をしています。キレイな十円玉の色がそうですね。
また、電気、熱の伝導性はAgの次に大きいため、電線などに使われてます。Agは高価なので代わりに比較的低価の銅が用いられているわけです。
11族に属しますが、その族がCu,Ag,Auなのは覚えやすいですよね。遷移金属らしくCu+とCu2+の2つのイオンがありますが、Cu+は非常に不安定なため、Cu2+ほど化合物をつくりません。Cu+の化合物としては、酸化銅(I)Cu2Oのみを覚えておけば十分でしょう。
◆酸化物
酸化物である2つの酸化銅はよく出題されます。酸化銅(I) Cu2Oと酸化銅(II) CuOがあります。
ところで、この(I)と(II)の意味があまりよくわかってない人がときどきいるので説明しておきましょう。(I)というの化合物中の銅イオンが一価のCu+だということです。よくCu2Oの”2″を見て酸化銅(II)だとしてしまう人がいるんですがこれは間違いですね。
さて、酸化銅といえばやはり色の違いが一番よく聞かれます。酸化銅(II) CuOが黒色なのに対し、酸化銅(II) Cu2Oは赤褐色をしています。
まず、銅粉を加熱すると、黒色に変色します。これがCuOです。しかしこれをさらに加熱していくと今度はCu2Oが生じて赤褐色になります。
4CuO→2Cu2O+O2
これは、CuOが1000℃以上だと酸化剤として働き、結果としてCu2Oを生じるからです。
とにかく酸化物は色と化学式を注意してください。
◆塩基性水溶液での化合物
銅イオンは基本的にCu2+で化合物を生じるのでCu2+の化合物についてのみまとめてみます。
水溶液での銅イオンを考える際、必ず出てくる話があります。それは、塩基性下での生成物についてです。Cu2+は少量のアンモニア水や水酸化ナトリウム水溶液などの塩基性溶液に対して、水酸化物Cu(OH)2を生じて沈殿します。ただし、アンモニア水に限っては、どんどんと加えて過剰なアンモニア水にするとこの水酸化物沈殿が溶けてキレイな濃青色の溶液になります。この詳細に関しては、【沈殿とイオン】の水酸化物イオンのところで解説しています。そこの文を書き出してみますね。
まず、基本的に塩基性にすれば、たいていの金属イオンは水酸化物沈殿になります。沈殿しないのはアルカリ金属とアルカリ土類金属です。これらは強塩基となって完全電離し、非常に安定な状態なので沈殿を生じません。
塩基性にする操作にはいくつかあります。まず強塩基のNaOHaqか弱塩基のNH3aqを加えるかの2通り。また、少し入れるか、たくさん入れるかによっても反応が異なってくるんです。
少量であれば、NaOHaqであろうとNH3aqであろうと水酸化物沈殿を生じます。ただし例外があって、Ag+は沈殿を生じるんだけれども水酸化物AgOHではなくより安定な酸化物Ag2Oとなって沈殿するので気をつけましょう。
問題なのは、過剰に加えたときです。NaOHaqかNH3aqによって、それぞれある特別な金属だけが錯イオンを形成してイオンとなり、沈殿が溶けてしまうんです。
過剰のNH3aqで溶解する金属→Ag+, Cu2+, Zn2+, Ni2+
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イオン
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少量
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過剰
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錯イオンの形
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少量での反応
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過剰での反応
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Ag+
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Ag2O |
[Ag(NH3)2]+
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直線形
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2Ag++2OH–→Ag2O+H2O | Ag2O+2NH3+H2O→[Ag(NH3)2]++2OH– |
Cu2+ |
Cu(OH)2
|
[Cu(NH3)4]2+
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正方形
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Cu2++2OH–→Cu(OH)2 | Cu(OH)2+4NH3→[Cu(NH3)4]2++2OH– |
Zn2+
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Zn(OH)2
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[Zn(NH3)4]2+
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正四面体形
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Zn2++2OH–→Zn(OH)2 | Zn(OH)2+4NH3→[Zn(NH3)4]2++2OH– |
Ni2+
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Ni(OH)2
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[Ni(NH3)6]2+
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正八面体形
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Ni2++2OH–→Ni(OH)2 | Ni(OH)s+6NH3→[Ni(NH3)6]2++2OH– |
センターレベルでは、Ag+, Cu2+, Zn2+ の3つで十分だけど、それ以上では他のも覚える必要がでてくる。とにかく大事なのは、これらの金属イオンに過剰のアンモニア水を加えると、アンモニア分子が配位結合して錯イオンとなり、溶けるんだってこと。あと、錯イオンの色、形もよく出るから合わせて覚えよう。反応式を覚えるかどうかは必要に応じて自分で判断してください。といっても、式のパターンはほとんど一緒(Ag+だけ酸化物が生じるのでちょっと違う)なのですぐに覚えられるでしょう。ここは本当によくでるから絶対覚えよう!
と、書いてあります。とにかくCu2+が過剰のNH3aqに溶けて錯イオンを形成する仲間の1つなんだということを忘れないで下さい。銅に関する問題の半分はこの話です。では改めてCu2+のみでまとめてみましょう。
イオンの色 |
Cu2+
|
青色溶液 | ※厳密には [Cu(H2O)4]2+ の色 |
少量のNH3aqを加える |
Cu(OH)2↓
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青白色沈殿 | Cu2++2OH–→Cu(OH)2↓ |
少量のNaOHaqを加える |
Cu(OH)2↓
|
青白色沈殿 | Cu2++2OH–→Cu(OH)2↓ |
過剰のNH3aqを加える |
[Cu(NH3)4]2+
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濃青色溶液 | Cu(OH)2+4NH3→[Cu(NH3)4]2++2OH– |
◆その他の化合物
以上の化合物の他に、硫酸銅(II) CuSO4もときどき見かけます。といっても無機というより理論化学の「固体の溶解度」でよく出てきますよね。硫酸銅(II)は水溶液中などで水和物CuSO4・5H2Oとして存在します。非常にキレイな青色結晶で、加熱すると白色粉末の無水硫酸銅(II)CuSO4 になります。水分を吸収すると再び水和物になることから、水分の検出としても用いられたりします。こういうのはぜひ資料集で実際の写真を見てみましょう。
◆酸化力のある酸との反応
銅が出てくる反応として、酸化力のある酸である希硝酸・濃硝酸・熱濃硫酸との反応があります。そして、それぞれ異なる気体を発生します。
銅と |
反 応 式
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発生する気体 |
希硝酸 |
3Cu+8HNO3→3Cu(NO3)2+4H2O+2NO↑
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一酸化窒素 NO |
濃硝酸 |
Cu+4HNO3→Cu(NO3)2+2H2O+2NO2↑
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二酸化窒素 NO2 |
熱濃硫酸 |
Cu+2H2SO4→CuSO4+2H2O+SO2↑
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二酸化硫黄 SO2 |
理論化学で「イオン化傾向」の勉強をしましたよね。その時にあわせて酸化力のある酸との反応を学んだはずです。そこで大事だったのは希硝酸、濃硝酸、熱濃硫酸でそれぞれ発生する気体が異なるんだということ。この反応が3種類の気体の製法ともなるわけです。これについては【気体の製法と性質】で確認しましょう。
ということは、もちろん銅でなくてもいいはずなんですが(白金と金、それと不動態を形成する金属以外なら反応しますしね)、なぜか銅がいつも使われるんです。だから反応式ごと覚えとくとそのまま出てきます。特に希硝酸と濃硝酸がどっちの式だったのか忘れたりします(自分の経験から・・・)ので気をつけましょう。
◆合 金
純銅は軟らかいので合金にして固くさせます。黄銅(Znを約30~40%)、白銅(Niを約25%)、青銅(Snを約10%)の3つを押さえておけば十分です。