1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | |
1 | H | He | ||||||||||||||||
2 | Li | Be | B | C | N | O | F | Ne | ||||||||||
3 | Na | Mg | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | Al | Si | P | S | Cl | Ar |
4 | K | Ca | Sc | Ti | V | Cr | Mn | Fe | Co | Ni | Cu | Zn | Ga | Ge | As | Se | Br | Kr |
5 | Rb | Sr | Y | Zr | Nb | Mo | Tc | Ru | Rh | Pd | Ag | Cd | In | Sn | Sb | Te | I | Xe |
6 | Cs | Ba | ~ | Hf | Ta | W | Re | Os | Ir | Pt | Au | Hg | Tl | Pb | Bi | Po | At | Rn |
7 | Fr | Ra | ~ |
◆アルカリ土類金属と2族
アルカリ土類金属では、とにかく注意してほしいことがあります。それは、
「アルカリ土類金属≠2族」
よく、BeとMgもアルカリ土類金属だとカン違いして覚えてしまう人がときどきいます。アルカリ土類金属は、Ca,Sr,Ba,Raの4つを指す言葉です。気をつけてください。
では、なぜBeとMgは仲間に入れてもらえないんでしょうか?それにはちゃんと理由があって、同じ族であるにもかかわらず、性質が明らかに異なる部分があるからです。
アルカリ土類金属(Ca,Sr.Ba,Ra)
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Be,Mg
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水との反応
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常温で反応
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常温では反応しない
Be→水蒸気で反応 Mg→熱水で反応 |
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水酸化物
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水によく溶ける→液性は強塩基
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水に難溶性→液性は弱塩基
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硫酸塩
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水に難溶性
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水によく溶ける
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炎色反応
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示す
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示さない
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このように、正反対の性質を示すんです。これでは、仲間に入れてもらえませんよね。
◆2価の陽イオンになりやすい
これは当たり前ですよね。最外殻電子を2つもつので、これらを放出して希ガス配置になろうとするわけです。ですから、アルカリ金属に次いでイオン化エネルギーが小さい。
◆アルカリ金属との類似点
密度の低さ
アルカリ金属に次いで密度が低く、銀白色の軽金属。ただし、Raは密度が大きいので軽金属として扱わない。
反応性の高さ
やはりアルカリ金属に次いで、反応性は高い。酸化反応や水との反応はほぼアルカリ金属と同じであるが、幾分穏やか。
◆アルカリ金属との相違点
難溶性の塩の生成
アルカリ金属では難溶性の塩を生成しないので水溶液中で沈殿を生じませんでしたが、アルカリ金属はある陰イオンと難溶性の塩を生成して沈殿します。例としては、SO42-, CO32-, PO43- があります。特に硫酸塩と炭酸塩は頻出で、よく沈殿による検出反応ででてきます。
◆カルシウム化合物とその反応
グループとしての話はこのぐらいにして、次は単独で頻出のCaについて詳しくみていきましょう。
Caに関する頻出反応を図にまとめてみました。まずCaCO3から説明していきましょう。
炭酸カルシウムCaCO3は天然に大量に存在し、石灰石や大理石の主成分となっています。炭酸カルシウムを強熱すると、熱分解が起こって酸化カルシウムCaOを生じます。
[1] CaCO3→CaO+CO2↑
CaOは生石灰とよばれています。これに水を加えると、激しく反応して多量の熱を発生します。その結果、水酸化カルシウムCa(OH)2が生じる。
[2] CaO+H2O→Ca(OH)2
Ca(OH)2 は消石灰とよばれます。で、この水溶液がいわゆる石灰水。水酸化カルシウムは強塩基ですから、これに酸である二酸化炭素を加えると酸塩基反応によって塩 CaCO3 が再び生じます。これで化合物が一周しましたね。
[3] Ca(OH)2+CO2→CaCO3↓+H2O
上の反応によって、難溶性のCaCO3が生成するので白色沈殿が観察できます。では、さらにCO2を加えていくとどうなるでしょう?
[4] CaCO3+CO2+H2O→Ca(HCO3)2
炭酸水素カルシウムは水に溶けるので、白色沈殿が溶けて無色の溶液になります。これはかなり有名な反応だから知ってる人も多いよね。ちなみにこの反応は逆反応も起こります。炭酸水素カルシウムが炭酸カルシウムに再び戻り、白色沈殿を生じます。。
[4] Ca(HCO3)2→CaCO3+CO2↑+H2O
ただ、この反応を起こすには加熱してやる必要があります。なぜ加熱するのかわかりますか?それはCO2を外へ逃がすためです。理論化学で、気体の溶解度は溶液の温度が大きいほど小さくなることは知ってすよね。CO2を逃がすと反応が右に進行します。これは、化学2の平衡で習う「ルシャトリエの法則」の話なんだけど、やっていない人は聞き流していいです。CO2の物質量が減少するのを少しでも抑えようとして平衡が右に偏るんでしたよね。
ちょっと話をCa(OH)2に戻します。水酸化カルシウムに塩素を加えると、さらし粉が生成します。
[5] Ca(OH)2+Cl2→CaCl(ClO)H2O
さらし粉は水溶液中で次亜塩素酸イオンClO-を生じます。これが、さらし粉が強い殺菌・漂白力を示す原因です。塩素の漂白力も塩素自身ではなく、水と反応することにより生じるこの次亜塩素酸イオンによるものです。
Cl2+H2O→HClO+HCl
さらし粉といえば、有機化学の【アニリンの性質】で出てきたように、アニリンの検出反応にも用いられますね。
CaOについても、もう1つ覚えてほしいのが、カーバイドCaC2の生成です。
[6] CaO+3C→CaC2+CO↑
酸化カルシウムにコークス(主成分はC)を混ぜて、約2000℃の高温で強熱すると、カーバイド(炭化カルシウム)CaC2が得られる、代表的な工業的製法です。ところで、カーバイドといえば?と聞かれてすぐに何かを思い出せるでしょうか?「カーバイドに水」は、アセチレンの製法の重要な反応ですね。これについては、有機化学の【アセチレンの性質】を参照してください。
CaC2+2H2O→Ca(OH)2+C2H2↑
アセチレンは有機合成の出発点となる材料です。ですから、[6] の反応は、無機物から有機物へのまさに入り口的な反応なわけです。
◆身の回りにある硫酸塩
最後に、身近なアルカリ土類金属化合物である硫酸塩について説明しましょう。
硫酸カルシウムは、天然ではニ水和物として存在しています。これがいわゆる「セッコウ」です。ギプスや像に用いられます。一番の特徴は、短い時間で軟らかくしたり硬くしたりすることができること。セッコウCaSO4・2H2Oを約120℃で穏やかに加熱すると焼きセッコウCaSO4・1/2H2Oが生成します。これは水に溶けやすく、その結果粘性の高い液体状になる。これを放置していると再びセッコウとなって固化します。ちなみに、もっと温度を高くして約300℃以上で加熱してしまうと完全に水和水を失ってCaSO4となります。こうなるともう二水和物のセッコウには戻りません。
他には、硫酸バリウムBaSO4が白色塗料や製紙に用いられます。また、胃などをX線で撮影する場合にマズい白い飲み物を飲まされますが、あれは硫酸バリウムです。