皮膜が発達。背面は茶褐色。腹面はクリーム色(オレンジ系クリーム色もいる)
ムササビの顔の特徴
皮膜は前肢から後肢、尾にかけて発達
尾は空中での安定性を高め滑空時舵取りの役目をする
後肢:指は5本。半分毛に覆われていて樹上での滑り止めの役割をする
前肢:指は4本。肉球はしっとりとしている
爪:カギ爪
ムササビの歯
ムササビの頭胴長(頭から尾の付け根までの長さ)は27~48cm、尾長(尾の長さ)は28~41cm、体重は700~1300g。イメージとして小さめの猫を想像すると良いです。
ムササビの鳴き声
鳴き声はムササビの滑空に次ぐ特徴ではないかと個人的に思います。高尾山などの山や森で「グルルルル」という不気味な声を聞いて驚いた人もいるはずです。
人によって聞こえ方は違いますが「グルルルル」「キョキョキョorキョロロ」などがあります。「グルルルル」は良く聞く鳴き声です。「キョキョキョorキョロロ」は警戒音や繁殖期に発することが多いみたいです。
かなり大きな鳴き声なので割と遠くからでも聞こえます。
また、台湾にいるムササビは余り鳴かないと聞いたことがあります。だとしたらなぜ日本のムササビは大きな声で鳴くのか気になりますね・・・
ムササビの分布
ムササビは本州、四国、九州に分布しています。分布域は本によって異なりますがここでは生息が確認されていない千葉県を除く本州、四国、九州を分布域としました。
なお、千葉県に生息していないのは関東平野があるからだそうです(ただ、化石が見つかっているので関東平野の存在だけでムササビが居ないとは言えないようです。今後文献等で千葉県に生息していない理由や仮説等がわかったら載せようと思います)。
追記
調べていたら川道武男さんの書かれた文献に千葉県には本州で唯一生息していないとの記述が。また、戦前までは生息していたが神風特攻隊の耳あてのために捕獲していなくなったという情報があるようです。ということは、昔は千葉県にも生息していたのかもしれません。
ムササビをレッドデータブックに掲載している都道府県(都道府県名の下に横棒が引かれている都道府県)
青森県 準絶滅危惧種
秋田県 準絶滅危惧種
山形県 準絶滅危惧種
茨城県 準絶滅危惧種
群馬県 注目
埼玉県 地帯別危惧
東京都 地域個体群
山梨県 付属資料 希少な雑種
静岡県 準絶滅危惧種
愛知県 準絶滅危惧種
滋賀県 準絶滅危惧種
京都府 準絶滅危惧種
大阪府 準絶滅危惧種
和歌山県 学術的重要
兵庫県 絶滅危惧Ⅱ類
鳥取県 準絶滅危惧種
福岡県 準絶滅危惧種
大分県 地域個体群
佐賀県 情報不足
長崎県 絶滅危惧Ⅰ類
熊本県 準絶滅危惧種
宮崎県 準絶滅危惧種
鹿児島県 分布特性上重要
これを見ると全都道府県の約半分でレットデータブックに記載されています。正直こんなに多いのかとびっくりしました。けれど、ムササビの詳細な分布を都道府県単位(あるいは市町村単位)で行われた(行われている)というのは調べてみると少ないです。
同じリス科のモモンガは調べてみると結構生息しており希少種ではないというのがわかりつつある県もあります。詳細な調査を行ったらレッドデータブックは変わるかも知れません。
ムササビの生息場所
平地から2300m付近の原生林や社寺林などに生息しています(丹沢や高尾山など)。とりわけ人里近くなどにある社寺林に多く生息しています。
ムササビの生息にはえさの確保が出来る森がある、樹洞など巣を確保できる場所があることが重要になってきます。巣の確保さえ出来れば大きな樹木が数本しかなくても生息可能なようですがそのような場所に住むムササビに未来は残念ながらないでしょう。
樹齢数百年のスギ・ヒノキが何本もある社寺林は生息の可能性が高い
ではなんで社寺林にムササビが多く生息しているのでしょうか?
神社やお寺は昔から大切に扱われており生えている樹木は大抵伐採されることがありませんでした。そのため、生息に適した大木が多数存在するためムササビが多いようです。 でも、最近では神社の周りの森が伐採されて、神社の森(鎮守の森)が周りから孤立化し、ムササビが移動できなくなり、その森から居なくなるということが場所によっては起きているようです。
周りを竹林に囲まれつつある神社にも生息している(この神社には糞があったので生息しているのは確実)。
ムササビの行動圏
メスは縄張りのような行動圏を持ち他のメスと行動圏が重なることはなく約1ha、オスの場合はメスや他のオスと行動圏が重なることがあり約2ha。
ただし、東京都での調査ではオスの行動圏が33haあったそうです。なので生息場所の環境(森の広さなど)によって行動圏は変わるものと思います。
ムササビの巣
ムササビの巣には以下のようなものがあります。
樹洞
樹洞はムササビの一般的な巣です。樹洞はキツツキによるもの、菌による腐敗などで出来ます。使用している樹洞は入り口の周りが苔が生えてなくきれいだったりと特徴があります。空に向かって入り口の開いている樹洞は好まれないようです。
長野県での事例ですが、樹洞を巡ってブッポウソウと競合関係にあるらしいです。
建物への営巣
建物の屋根裏などに営巣することもあります。屋根裏にネコが居ると思ったら実はムササビだったということもあるようです。屋根裏に入るという点で害獣として扱われることがあります。
樹上巣
見たことはありませんが、まれにリスのように樹上に営巣することがあるそうです。
巣箱
野生動物の調査や観察、保護活動のために設置した巣箱にムササビが営巣することもあります。