ここでは日本産サンショウウオの飼育方法について述べています。
1.始めに知っておきたいこと
1.個体数が減少している生き物であること
2.種によっては採集禁止となってます
3.ツボカビを保有している可能性が無いとは言えません(タイガーサラマンダーでツボカビの感染例があります。野外採集個体なら可能性は低いと思います。)
4.ペットショップやネットオークション等での購入は野外での個体数減少や乱獲を助長する可能性があること
2.サンショウウオの紹介
ここではクロサンショウウオのみ紹介します。
クロサンショウウオHynobius nigrescens
[分布]東北、北関東、佐渡、福井県以北の中部
[全長]13~15㎝
3.入手方法
採集
成体を採集するのは繁殖期を除いて困難です。また、成体を採集するのも余り好ましくありません。採集するなら幼生を採集しましょう(自然界での幼生の生存率は低いので(たしか7%)ほんの少しの採集であれば問題はないと個人的には思います)。採集する場合は必要最低限を。採集場所は人に絶対教えないように。特にネット上での公開は乱獲を引き起こす可能性があるので厳禁です。また、種や地域によっては採集禁止の場合もあるので良く調べてから採集しましょう。
購入
個人的にはオススメしません。お店に流通する成体は主に繁殖期を狙って採集されているので、ほとんどがオスというのを聞いたことがあります。
4.飼育
飼育は結構難しいです。アカハラやシリケンといったイモリ感覚だとまず死にます。けれど、それなりの設備や労力があれば簡単になります。
高温と乾燥には絶対注意しましょう!
幼生編
高水温と水質悪化に注意しましょう。水温は20℃以下が好ましいように思います。
レイアウト
水槽・プラケース等に流木などで陸地(変態・上陸時に必要)を作りエアレーションをする。(フィルターでも可)
飼育数等
サンショウウオは共食いをするので異なった大きさの幼生を一緒にしない・1容器の飼育数を多くしないようにしましょう。
野生下では共食いをすることによって成長するようです。
水温
サンショウウオによって耐えられる水温は異なるが約20℃以下が好ましい。水温は人間用のクーラー(部屋ごと下げる・電気代が・・・)・水槽用クーラー(高価)・冷蔵庫(楽・世話がしにくい・家族の反感を買う)・保冷財(めんどくさい)・冷蔵ケース(店先でジュースが置いてあったりするやつ)等を使って下げます。(私は冷蔵庫を使う)
えさ
生まれたての幼生にはミジンコ・ブラインシュリンプ(シーモンキー)等が良いと思います。ある程度成長すると冷凍赤虫を食べるようになります。(食べない場合は活赤虫か活糸ミミズを)
なお、活イトミミズで育てたサンショウウオの骨に異常が見られたという情報があるので活イトミミズは常用しない方が良いと思われます。
世話
数日に1回のえさやり。1週間に1回程度の水換え。こんなものです。なお変態・上陸しそうになったら上陸できる陸地があることを確認しておいてください。水換え時にはツボカビ等の対策のため汚水を消毒してから捨てるようにしてください(野外採集個体で、他に両生類を飼育していない、飼育器具は未使用のものであればさほどツボカビに関して神経質になる必要は無いと私は思います)。
病気
病気に関してはわかりませんが水質悪化による感染症などが考えられます。ツボカビに関してはカエルのオタマジャクシが死亡しないことからサンショウウオの幼生も同様に死亡しないのかなと思います。
注意点
高水温になると高い確率で死にます。必ず低水温を心がけましょう。
亜成体・成体編
飼育ケージ
水槽やタッパーなど脱走されなければ何でも良いです。
レイアウト
土や倒木を入れたりして自然ぽっくしたり、掃除しやすくするために赤玉土に植木鉢のかけらの隠れ家だけだったり・・・自分にあったレイアウトをしましょう。私は土(えさが湧くから)+小さな枯れ木です。
えさ
基本的には活餌しか食べません。ミルワーム(えさを与えて栄養をつけてから)やサシ(釣具屋で手に入るウジムシ)、ペットショップで売られてるコオロギ(口に入る大きさじゃないと食べません)、採集したミミズ、ワラジムシ等が良いです。特にコオロギはお勧めです。(どのえさもカルシウム剤などを振りかけてから与えると良い)生餌を与えるのは大変です。しかし慣れさせればアロアナフードとかを食べるようになるみたいです。
日々の管理
数日~数週間に1回のえさやり、たまにやる掃除(廃棄物はツボカビ等の対策のため袋に入れて必ず可燃物に出すか焼却処分を)、低温、湿度を高めに保つ。これで良いと思います。 乾燥させると死ぬので注意!
暑さ対策
例外を除きほぼすべてのサンショウウオは暑さに弱いです。人によっては専用冷蔵庫を自作する人とかいるようです。 暑さをしのぐには涼しいところに置く、保冷剤等を使用、クーラーで部屋ごと冷やしちゃえ!冷蔵庫に入れちゃえ・・・などさまざまあります。冷蔵庫に入れちゃう方法は簡単ですが湿度管理をしっかりしないとサンショウウオが乾燥で死んでしまいます・・・
逆に冬季の保温はいりませんがミッドサラマンダーという外国のサンショウウオなどは保温が必要みたいです。
病気
おそらくツボカビ症には感染します。その他はわかりませんが高温により免疫力が低下して何かしら病気を発症する、飼育環境の悪化、傷口などが原因で感染症にかかることがあるかもしれません。
5.最後に
意外と長生きな動物です。飼育するからには繁殖を目指す、サンショウウオの現状なんかも調べてみましょう。