空中線(アンテナantenna)について解説

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空中線とは

電荷粒子に加速度が働くと、それによって受け取ったエネルギーに等しいエネルギーを持った電磁波を発生します。

電荷は主に電子と陽子によって運ばれますが、通常、陽子は原子の中にあり、電子に比べ非常に重いことからほとんど移動しないので、電荷を運搬する役目(電流)のほとんどを電子が果たすことになります。

電線の両端に電池を接続すると、その間に電界が発生し、その電界によって電線の中にある自由電子が加速され移動します。それが電流が流れるということでます。一般に電線(金属)等では、その中の自由電子の大群が移動することで、電流(電荷(自由電子)の移動)が流れ、その電流は磁界を作ります。その磁界の強さは電流の大きさに応じて変化します。さらに、磁界の変化が電界を発生させ、電界の変化が磁界を発生させ、このような磁界と電界の時間的な変化は連鎖的に繰返されるのが電磁波です。

電磁波の送出や受信に使用され、電気エネルギーを効率よく電磁波として空間に放射する働きを持ち、また、空間を移動している電磁波を効率よく電気エネルギーに変換する働きをするのが空中線でアンテナ(Antennaまたはaerial)ともいいます。空中線(アンテナ)は基本的に送信と受信に共用できます。

 

アンテナの語源

1895年マルコーニは、スイスのモンブラン地方にあるサルバンでの無線の実験で2.5mのポールに導線を吊るしたアンテナ(空中線antenna)で電波の送受信を行いました。このとき、アンテナ(Antenna)という言葉を最初に使用したのがマルコーニで、当時、既に電波の送受信にしようするアンテナに相当する言葉としては「Aeriais」が使用されていましたが、マルコーニは敢えて「antenna」を使用しています。その後アンテナというようになりました。「antenna」はもともとは昆虫等の触角を意味する言葉です。

 

 

実用的なアンテナの種類

アンテナでは高周波電源(送信機)からの周波数に対してアンテナが共振状態になると高周波エネルギー(電圧と電流)が電波(電解と磁界)に効果的に変換(電波の放射)されます。共振状態に無い(周波数が異なる)場合には高周波エネルギーが十分に放射されません。

 

接地アンテナ  

高周波電源の出力を対地とアンテナ線に接続し、アンテナ線の長さを高周波の波長の1/4(1/4波長)またはその奇数倍(3,5,7)にしたものです。

グランドプレーン  

地上よりも高い位置にアンテナを設置する場合には接地アンテナの大地に接地する代わりにアンテナ線と直角方向に1/4波長の導線(ラジアル線)を数本取り付けたものです。

ダイポールアンテナ  

1/4波長のアンテナ線を送信機の出力の両側に取り付けたものです。

折返しダイポールアンテナ  

ダイポールアンテナの両端に折返し線を取り付けたものです。

八木・宇田アンテナ  

折返しダイポールアンテナ(放射器)に1/4波長の間隔を置いて導波器と反射器を置いたものです。 八木・宇田によって発明されたアンテナ。

パラボラアンテナ

パラボラアンテナ(parabolic antenna, parabola antenna)とは、放物曲面をした反射器(放物面反射器 parabolic reflector)を持つ凹型アンテナ。形状からディッシュアンテナ(dish:(料理などを盛る)皿)ともいう。図の放物面 C の焦点 F に反射器の方向に指向性をもつ1次輻射器をおくと、輻射された電磁波が反射して放物面の対称軸方向と平行に揃って良好な指向特性を示す。受信する場合は経路が逆になる。1次輻射器には、1/2波長ダイポールアンテナやホーンアンテナの小さいものなど、利得の低いものがよく用いられる。(反射器によって得られる利得が高いため、高利得の輻射器を必要としない。)主に極超短波(UHF)より短い波長の電波(主にセンチメートル波(SHF))で利用され、遠距離通信や衛星通信、電波天文に用いられる。

 

アンテナの指向特性

八木・宇田アンテナの最大の特徴は放射器から放射された電波の大部分が導波器の設置された方向に放出されることです。また受信時には導波器の方向からの電波を非常に検出しやすくなります。このような特性を指向性があるといいます。

一般にアンテナから放出された電波がどの方向にどの程度の強さで放出されるかを表したものをアンテナの指向特性といいます。また、受信時にどの方向からの電波をどの程度の強度まで検出できるかを示しています。アンテナの指向特性は3次元空間で表現されますので、アンテナを含む水平面と垂直面での各方向毎の強度で表現しています。