セマルハコガメの飼育について解説

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セマルハコガメについて

セマルハコガメ(写真は西表産のヤエヤマセマルハコガメ)

[学名]Cistoclemmys favomarginae evelynate

[分布]石垣島、西表島、台湾、中国南部
[甲長]約20㎝
[食性]雑食
[産卵数]2~5個

国産の個体は天然記念物に指定されているので採集および飼育が禁止されています。またSITES付属書Ⅱ類に指定されているため国際的な取引が規制されています。

漢方薬やペット用として乱獲されたり生息地の破壊などで減少した。

最近では沖縄本島に持ち込まれ天然記念物リュウキュウヤマガメとの交雑が問題になっている。

[コメント]

石垣島や西表島に行けば割りと良く見られるカメです(石垣で見たことは無いですが・・・)。雨上がりが観察のチャンスだとか。普通に道路を歩いているので西表島、石垣島に行ったときは車のスピード出しすぎに注意しましょう。

 

雌雄判別の方法

 

一般的にカメの雌雄を判別するには尾を見ます。尾が長く太ければオス。短く細ければメス。総排泄穴がオスは甲羅より外側。メスは甲羅の近くにあります。また、オスは交尾しやすいように腹甲がへこんでいるそうです。

オス↓

メスと断定できる個体が我が家にはいないので写真を載せることが出来ません。「セマルハコガメ雌雄判別」で検索すると判別方法が載っているHPにたどり着くことが出来るので参考にしてください。

※我が家の個体は過去に尾が切れたおそれがあるため尾が短いです。

我が家の個体の総排泄口の位置です。

我が家のセマルハコガメ

 タイワンセマルハコガメ(24000円。次の年のHBMではセマルが10000円だった・・・)。

CB個体は大抵メスになると言われたが2008年10月にオスということが判明。それまでメスと思い込んでいたため女の子っぽい名前が付いている。

ただいまメスを捜索中。でもなかなかメスの個体が見つかりません。見つかるのは雌雄判別不可な幼体・・・根気強くメスを探すか、ギャンブル的な幼体を購入するか、それともメス個体のみを飼われている方がいたらその方に貸し出し繁殖させるか・・・悩みますね・・・知り合いにオスを飼われている方がいるのでメスだと良かったのですが・・・

※メスの個体の販売しているところを見つけましたが高い・・・約5万円は出さないとタイワンセマルのメスは購入できないです。

タイワン×チュウゴクってやっても良いものなのかしら?

※我が家の個体はチュウゴクでは?という意見が寄せられたことがあるので本当にタイワンなのかは不明。DNAレベルで調査しないと無理かしら?

 セマルハコガメを飼育しよう!

セマルハコガメを飼育しよう!(入手編)

日本産が天然記念物だったり、サイテスⅡで国際取引が規制されていたり・・・なんだか入手しづらそうなセマルハコガメ・・・でも、最近では国内でのブリードが安定していたりと結構入手は簡単なんです。

※サイテスⅡですがサイテス入り前に輸入された個体及び国産CBに関しては証明書は要りません。また、外国からの輸入個体であったとしても販売時に証明書が必要になることはありません。

入手方法

ペットショップ(爬虫類専門店などが良いかも)・ネット通販・爬虫類展示即売会(HBMとか)などで購入できます。ほとんどが日本で増やされた個体です。
ちなみに我が家の個体はHBMで購入しました。

※クサガメやミドリガメのように何処にでもいるようなカメではありません。

販売価格

15年以上も前(アバウト)は1匹5000円程度でした(5000円で1Pr買えた店(これは店側のミスらしい)もあったらしいです)。安かったため大切に扱われることが少なかったようです(捨てる人も多かったとか)。現在は大体1匹1万~4万ぐらいの間でしょうかね(幼ガメの場合)。 繁殖に即戦力として使えるアダルト個体などは値段が高い傾向にあるようです。甲ズレなどの訳あり個体は安く入手出来る場合があります(9800円というのを見たことがあります)。

セマルハコガメを飼育しよう!(飼育編)

セマルハコガメ飼育編です。

セマルハコガメを飼育するのは割と簡単です!(でも、知識がないと簡単に死ぬと思います。また、手抜きはしないように・・・)

ケージ

衣装ケース・水槽・爬虫類用水槽など何でもOKです。ただし、脱走できない、広いケージがよいです(20cm近くに成長するため水槽の大きさとしては最終的に90cm以上が良いと思います)。

[衣装ケース、水槽、爬虫類用水槽のメリット・デメリット]

・衣装ケース:安価、軽い。ただし、横からの観賞には不向き。

・水槽:観賞しやすい。ただし、90cm水槽(ガラス)は重いと思われる(持ったこと無いので・・・)。アクリルの場合傷がつきその内観賞には不向きになると思われる。

爬虫類専用水槽:大抵は正面に扉(あるいは引き戸みたいなの)がついているため管理がしやすい。また、ヒーターなどの器具類もつけやすいと思う。ただし、観賞はやや不向き。

 

その他必要な物

・紫外線ライト

甲羅形成のためなどカメには必要不可欠なライト(紫外線を浴びることによりビタミンDを生成し、カルシウム吸収に必要)。屋内飼育でなおかつ定期的に日光浴が出来ない場合は必須。ただ、無くても育つことは育つ。蛍光管タイプとスパイラルタイプがある。好みやケージに合わせて選ぶと良いと思う。

ライトの種類にUVB2.0、5.0、10.0などがありこの数値はUVBの強さ(%)を現します。メーカーの記述を見ると5.0は森林性のもの、10.0は裁くなどに生息する物に使用するみたいなことが書いてあります。セマルは森林性なので5.0で良いかと思いますが爬虫類に5.0は弱すぎるとか言う意見を見たこともありますし、他のセマル飼育者の方が10.0を使用されていたので我が家では10.0を使用しています。

※現在は5.0に変更しました。

・保温器具

赤外線ランプ、セラミックヒーター、パネルヒーター、暖突(上からつるして暖めるヒーター)などを使用して保温します。

ケージ内の温度は20℃台で維持すれば問題ありません。生息地に近づけたいという場合は八重山地方や台湾の気温を参考にすると良いと思います。なお、ケージ内は温度の高いところ、低いところなど温度に変化を持たせカメが好きな温度のところへいけるようにしましょう。

・サーモスタット

サーモ内臓の保温器具もあったりするが、保温器具使用による異常な温度上昇を防いだりするために使用する。電気代削減にも繋がる。

・水場

セマルは高湿度を好むし、水の中にも良く入るので必要。飲み水にもなる。タッパーや爬虫類用の水入れなどを使用する。

・えさいれ

どんな入れ物を使ってもかまわない。

・底土

無くても良いが潜ることが好きなセマルのためにもあったほうが良い。赤玉土や腐葉土などを使用する。保湿力のあるものが良いと思われる。もっとも最適な底土は腐葉土+ヤシガラらしいです。

なお、管理を楽にしたい方はケージの底に何も敷かないか新聞紙(雑誌情報だとリクガメに対してはつるつるして不向きみたいなことが書いてあったためセマルに関してもあまり良くないかもしれません)あるいは人工芝(誤飲の可能性があるためカメの飼育には不向きと言う情報アリ。我が家では問題ありませんでしたが・・・)を敷くかにすると良いでしょう。

・温度計、湿度計

ケージ内の温度や湿度を測るのに必要。

 

・あってもなくても良いもの

・バスキングランプ

身体を温める太陽の代わりになるライト。これを用いて日光浴の代わりとする。ただ、森林性のセマルに必要は無いと思うし、不使用でも特に問題は起きてない。

・植物

これは自分の好みで・・・。入れるのなら毒ない植物を。

・流木や石など

これも好み。

レイアウト

カメにレイアウトというものは通用しない。たとえ、流木を設置したり植物を植えたりしてセットしてもいずれは破壊される・・・

下の2枚の写真は昔と、現在の飼育風景。

昔の飼育風景

衣装ケースに赤玉土を使用。ハロゲンランプ、パネルヒーター、ホットスポットで温度管理。タッパーで水場を設置。隅の方にガジュマルが置いてある。

現在の飼育風景

 

現在我が家では水槽(ADA製60cmレギュラー)で床土はヤシガラ+腐葉土、水場はタッパー、えさ入れ、割れた植木鉢を利用したシェルターで飼育しています。保温器具はみどり商会の「暖突M」をメインに補助でエミート50w(写真には載っていない)、ピタリ適温を使用。保温器具はGEXの爬虫類サーモを使い25℃で管理しています。紫外線は5.0で13wを使用。ホットスポットは設置していません。

 

 

えさ

1.主食

人工飼料を与えます。定番だと思われるのがテトラレプトミン。ハコガメ専用フードもあります。その他に、リクガメフードを与えている例(知り合いが与えていたが現在は不明)やドックフードを与える例(ビバガに載っていたような)などもあります。

2.副食

おやつ程度にレバーや砂肝、ミミズやコガネムシの幼虫、セミ、バナナなどの植物を与えてやるのも良いです。

特に人工飼料を拒食したようなときにはレバーなどの肉系やミミズなどは有効だと思います。

※釣りエサ用ミミズは薬が使われていると言われているので与えないでください。

 

サクラの好き・嫌い ◎大好き○食べるor好き△微妙×食べない

レプタミン(主食)○
レバー◎
バッタ類△
イチゴ◎
ミミズ◎
砂肝◎
セミ◎
バナナ○
コガネムシの幼虫◎
ピンクマウス◎
セミの幼虫◎
リクガメフード×ナメクジ◎
鶏肉○
ミルワーム◎
ハコガメフード×
カタツムリ◎
カミキリムシ△
タンポポ×  

※個体差があると思うので参考程度にしてください。

 

日々の管理

数日おきのえさやり、水場を汚れたらきれいにする。底に土を敷く場合は汚れたら土を全取替えする。湿度は高めに保つetc・・・をすれば大丈夫です。

ビバガに、ヤマガメなどの飼育で微生物が発生するため床土交換をしなくても大丈夫といったような情報が出ていたので最近我が家では床土交換を行っていません。今のところにおいの発生(餌が腐った場合は除く)や個体への悪影響は出ていません。

※乾燥気味にさせないよう注意しましょう。乾燥させると幼ガメの場合はきれいに成長してくれないようです。

 

季節の管理

春:保温飼育しているのなら特に注意すべき点はなし。暖かくなるので天気の良い日は日光浴をさせるのも良いかも。

夏:多湿な環境に住んでいるのでもっとも過ごしやすい季節かも。温度も40℃とかにならなければ気にする必要はなし。ただ、高温になると調子を落とすらしいのでなるべくなら30℃以下が望ましいと思われる。

秋:寒くなってくるので保温を開始する。

冬:冬眠させない場合は必ず保温を。乾燥にも注意する。ケージ内の温度は20℃台で良い。飼育本には18℃~となっているものもあるため若干低くても大丈夫。なお、八重山地方は1月には14℃とかに下がることもあるので一時的には10数度台に下がっても大丈夫かと思います。

※関東以南では冬眠可能らしいです(そのため野外飼育も可能)。我が家では冬眠させないため冬眠方法は載せていません。

 

病気

風邪、肺炎、皮膚病などになるおそれがあります。何か異常があったら動物病院へ。念のためカメを診療出来る病院を探しておくと良いです(ちょっと遠いですが私は見つけました)。

 

繁殖

後日掲載。何れは我が家の個体を用いて繁殖(メスの個体を購入して)するつもりなので繁殖成功できたら詳細なデータを公表しようと思います(いつになることやら・・・)。

もし増えたら動物取扱登録の資格を得てHBMなどで販売したら良いかも。

 

最後に

セマルは昔に比べて貴重なカメになってしまいました。貴重だからとか珍しいからという理由で飼うのではなく、心の底からセマル大好き!という気持ちを持って購入してもらいたいものですね。

※野外飼育も可能です。我が家では野外飼育をしていないので情報を載せませんが興味のある方は検索してみてください。ただ、盗難やイタズラなどの可能性があるため絶対安全といえる場所が無い限り、個人的にはオススメしません。

注意

沖縄本島や宮古島など本来生息していない場所でセマルハコガメが見つかっています。特に沖縄本島では天然記念物のリュウキュウヤマガメと交雑して問題になっています。本島および宮古その他沖縄離島(西表及び石垣は除く)で見つけた場合は役所等に情報を知らせるようにしてください。

 セマルハコガメの流通に関して

実はセマルハコガメは国産個体が違法に流通しているとされています。

アダルト個体は国産かもしれないし、CBでも親が国産だったりして・・・

嫌ですね