発電機と電動機の原理について解説

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発電機(はつでんき electrical generator ダイナモ(dynamo)ともよばれます)の原理

 

発電機は、ファラディが発見した電磁誘導の法則に従って、機械的エネルギーを電気エネルギーに作り変える機械です。

  電気には直流と交流があります。 歴史的には直流発電機が最初に作られましたが、電磁誘導の法則に従ってコイルに永久磁石を出し入れすると電気が発生しますが、このとき、入れるときと出すときでは電気の流れが反対になっています。これをある周期で繰返すと交流の電気になりますが、当時電気の利用は直流に限定されていた(交流電気の利用方法が開発されていなかった)ことから、これを直流に変換する必要がありました。

 電磁誘導の法則では磁気(磁束)と導線に流れる電流と、その相対的な変化によって力が決定されますので、磁気か導線のいずれかを動かす必要があります。その動かし方は実用性を考慮すると、原動機(水車、エンジン等)のほとんどが回転運動ですので、磁気か導線のいずれかを回転させ、電磁作用により回転力を電気に変える装置が一般的な発電機です。

 

直流発電機(ちょくりゅうでんどうきDC electrical generator)の原理

 

 

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 上の原理図では永久磁石のN極とS極の間には磁気が生じています。磁気の向きはN極からS極の方向です。その中で回転軸を持った円柱を回転できるようにして、円柱の回転方向と直角に導線(コイル)を巻き回転軸の方から導線を取り出し、円周方向に半割れになった整流子(commutator)に接続します。二つの整流子は相互に絶縁されていて、それを両側から接触器(ブラシ)で挟みます。

  そこで、回転軸を外部の力で回転させると円柱に巻かれた導線が磁気(磁束)の中を移動することになりますので、導線に電気(起電力)が発生し、外部の回路に電流が流れます。その大きさは、磁気の強さと上下する導体の速さが大きければ大きいほど大きくなります。

  円柱は回転していますが磁気に直角な速度成分(導線が上部や下部では小さく磁石に近い横では大きくなります)に応じて電気が発生します。その方向はフレミングの右手の法則に従います。

 

整流装置

 発電機の導線の回転運動を横から見ていると導線の運動は磁気に対して上下運動をしているように見えます。この状態で発生する電気は運動の方向が逆になると電気の流れる方向も逆になりますので、一定方向に流れる電気を作るには、電気の流れの方向を切り替えてやる必要があります。これを整流といいます。導線は回転軸に表面に反割のリング取り付けた整流子(commutator 赤と青)に接続され、二つの板ばね(ブラシbrush)で整流子を挟むことによって、回転軸が半回転する毎に電気の流れの方向を切り替えることができます。このブラシに計器を接続すると、回転軸が半回転する毎にコイルに流れる電流の方向が変化します。

 

 ここでは導体を回転させる方法を示しましたが、最初の発電機は磁石を回転させる方式でしたが、整粒装置が複雑になることから、直流発電機は導体を回転させる方式が一般的です。

 

交流発電機(こうりゅうはつでんきAC electrical generator)の原理

 

 原理図は直流発電機と基本的に同じで、ただ整流子がスリップリング(回転軸の円周方向に回転する導電性の環)に換わります。

 

 

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 回転軸を外部の力で回転させると円柱に巻かれた導線が磁気(磁束)の中を移動することになりますので、導線に電気(起電力)が発生し、外部の回路に電流が流れます。その大きさは、磁気の強さと上下する導体の速さが大きければ大きいほど大きくなります。

  円柱は回転していますが磁気に直角な速度成分(導線が上部や下部では小さく磁石に近い横では大きくなります)に応じて電気が発生します。その方向はフレミングの右手の法則に従います。

 直流発電機の場合は導線に生じた電気を回転軸に取り付けた整流子によって半回転ごとに電気の流れる方向を切り替える操作をしましたが、交流は発生した電気をそのまま取り出します。

 円柱に巻かれた導線(コイル)は回転軸に取り付けられた2つのスリップリングにそれぞれ接続され、2つのブラシはそれぞれのスリップリングに接触し電気はそれぞれのブラシから取り出されます。

 

 

電動機(でんどうきelectrical motor モータともよばれます) の原理

 

電動機は、ファラディが発見した電磁誘導の法則に従って、電気エネルギーを機械的エネルギー(回転力)に作り変える機械で、モータとも呼ばれます。

構造は、基本的に発電機と同じです。

 

直流電動機(ちょくりゅうでんどうきDC electrical motor) の原理

 

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 磁気の方向と直角に置かれた導線に電気(電流)を流すと電気と磁気との相互作用によって導線を動かそうとする力が発生します。その力の方向はフレミングの左手の法則に従い、その強さは磁気の強さと電流の大きさに関係(導体と交差する磁束と電流の積に比例)します。

 

 

交流電動機(こうりゅうでんどうきAC electrical motor)の原理

 

 交流電動機は交流発電機に交流の電源を接続すれば交流電動機になるのですが、現状の配電システムでは始動(静止状態から回転を始めること)ができず、始動装置を必要とすることから、一般には原理の異なる誘導電動機が使用されます。

 誘導電動機は多相交流を使って静止したコイルで回転する磁界を作り出すことができ、始動が容易なことから広く使用されています。