ヴィーンの変位則/シュテファン・ボルツマン則について解説

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黒体(Black body完全放射体)とは、外部からの放射(電磁波)などのあらゆる波長の電磁波を完全に吸収する物体のことです。完全な意味での黒体(完全黒体)は現実には存在しないのですが、それに近い物質や物体は存在します。

 黒体からの熱や光などの放射を黒体放射といい、温度(T)におる波長(λ)の黒体放射強度 I(λ) をプランクの式から求めることができ、その分布をプランク分布といいます。

 

 

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シュテファン・ボルツマン則(Stefan-Boltzmann law)

 

 

 プランクの式を全波長領域で積分すると、黒体放射の全エネルギーになり、それは温度の四乗に比例します。

σ=シュテファン・ボルツマン定数

 

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ヴィーンの変位則(Wien’s displacement law)

 

  プランクの式を微分して光の強度 I(λ) が極大となるλmaxを求めると、 放射強度最大の波長(λmax)が温度 T に 反比例します。

 

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ここでTは黒体の絶対温度(K)、λmax はピーク波長(m)、0.002898が比例定数です。

 

 物体の温度が高ければ、放射される全エネルギーが増加し、波長は短いものの割合が増加してきます。

 物質・物体は温度に応じた電磁波を発散していて外部からの電磁波の入射(加熱)が無ければ温度は低下します。一方、入射が多ければ温度は上昇します。物体からの放射と,入射が完全に釣合っているとき物体の温度は一定で、これを平衡状態にあるといいます。

 例えば,雲のない晴れた夜には地面から熱が奪われ朝方には冷え込むことがありますが、このような現象を放射冷却といいます。また、大気中の炭酸ガスの量が増加すると太陽からの入射が吸収され、地球からの放射は替わらないことから地球の温度が上昇します。このような地球温暖化現象も放射と入射の不釣合いによって発生します。

 太陽の表面温度は約5780 K(絶対温度ケルビン)で、ピーク波長は約500 nm(ナノメートル)で、人間の目はこの光(可視光線)に最も敏感に反応します。そして、放射が強度の最大となる波長に応じて色を感じることができます。

  太陽の色がこの波長に相当していて、電球等の光を見ると、温度が高いときは白色ですが、温度が低くなると黄色っぽい光になりさらに温度が下がると赤みがかった色(波長が長い)に見えます。これは電球からの光がウイーンの変移則に従っているためです。