超伝導 (ちょうでんどう Superconductivity)現象とは低温環境下である種の物質に生じる現象で、電気抵抗がゼロとなり、磁場を完全に排除(マイスナー効果)する現象のことです。
超伝導現象が生じる物質のことを超伝導体 (Superconductor) といい、超伝導状態で流れる電流のことを超伝導電流といいます。
抵抗が無いということはエネルギーの損失が無いことを意味しますので、効率の良い電気製品が実現出来ることから実用化に大きな期待がかけられています。
従来絶対零度では粒子の運動エネルギーが零になると考えられており、その結果、金属も絶対零度では電子が移動できなくなることから絶縁体になると予測されていたが、カメリン・オンネス(Kamerlingh Onnes,1853-1926)はヘリュウムの液化に成功して(1911年)水銀の電気抵抗が絶対温度4.2Kで消滅することを発見し、上記理論は誤りであることを証明しました。
1957年にバーディン、クーパー、シュリーファー(John Bardeen, Leon Cooper, and Robert Schrieffer) の三人によって超伝導を説明する理論(BCS理論)が提唱されました。それは、超伝導状態を実現するためには電子系が何らかの凝集状態(例えば電子が質量と体積を持たないポーズ粒子になると抵抗が無くなる)になれば説明ができる。しかし、電子は質量と体積を持もつフェルミ粒子であり、パウリの排他律からくる制限により、そのままでは凝集できません。
電子はフェルミ粒子でスピンが1/2ですので、電子が2個結合する(クーパー対を作る)とすれば、電子のスピンは1/2と1/2を足して1になることからクーパー対はボーズ粒子として空間に凝縮(ボース凝縮;物質であるフェルミ粒子がパウリの排他律が適用されないポーズ粒子に変化すると、同じ位置に同じ粒子がいくつも存在できるようになり、体積が急激に減少する)しているので他の物質との相互作用が無く電子対は自由に移動できるようになった状態であると考えられています。
このためには、電子同士がお互い斥力を及ぼし合う状態から、何らかの有効な引力が電子同士に働く状態になる必要がああります。
このBCS理論では電子-格子相互作用を介して電子同士がフォノンを仮想的に交換することによって、電子同士に引力が働くと考えます。この引力によって生じる電子対(スピンは互いに逆向きで、電子対の全運動量がゼロ)をクーパー対といいます。