1)物質の状態と粒子の熱運動
物質を構成する粒子は、その温度に応じた熱運動をしている。また、粒子間には引力が働くため、温度により固体・液体・気体の状態をとる。
固 体‥‥低温の状態では、物質を構成する粒子の熱運動が小さいので、粒子間の引力の影響が大きくなり、粒子は規則正しく配列して固体となる。粒子は決まった位置を中心にわずかに振動している。
液 体‥‥固体の状態よりも温度が高くなると、粒子の熱運動も大きくなるので、粒子が一定の体積中に詰まっていて、互いに粒子間で引き合っているが、比較的自由な運動をしている。
気 体‥‥高温の状態になると、粒子の熱運動がさらに激しくなり、粒子間の引力の影響が無視できるようになると、粒子は広い空間を自由に飛び回るようになる。
2)状態変化とエネルギー
固体状態の純物質を、一定圧力(通常は1013hPa )の下で加熱していくとき、その物質の状態と温度変化を図示すると次のようになる。
3)物理変化と化学変化
物質の状態変化では、固体、液体、気体の変化であって、物質そのものは変化していない。例えば、氷、水、水蒸気はどれもH2Oである。このように物質の状態や形が変わるだけで物質そのものは変わらない変化を物理変化という。一方、水を電気分解すると、酸素と水素に変化する。このように物質そのものが変化する場合を化学変化という。
4)粒子の熱運動
拡散
同じ圧力の酸素と窒素をコックで分けた別々の容器に入れ、コックをあけて長時間放っておくと、容器の中は両方とも酸素と窒素が同じ割合の混合物になる。
この現象を拡散という。拡散が起こるのは、物質を構成している粒子が、その温度に応じた運動エネルギーをもっていて、絶えず運動しているためである。この運動が熱運動である。
(注意)分子はさまざまな運動エネルギーをもち、全ての粒子が同じ運動をしているわけではない。つまり、温度が高くなると、高い運動エネルギーをもった分子が増え、分布全体がエネルギーの大きい方へ移っていく。
5)温度と熱量
温度
温度は寒暖の度合いを数値化したものである。その温度によって粒子の熱運動の激しさは異なるので、温度は粒子の熱運動の度合いを示すことになる。
温度にはセルシウス温度(単位℃)と絶対温度(単位Kケルビン)がある。l粒子の熱運動は-273℃で停止し、それ以上温度は下がらない。この温度を絶対零度といい、0Kと表す。セルシウス温度t[℃]と絶対温度T[K]には次のような関係がある。
T = t + 273
熱量
物が外部に対して仕事をするとき、そのものはエネルギーを得たと表現される。例えば、粒子は熱を得て熱運動をする。この場合のエネルギーは熱ということになる。熱以外では、光、電気などがエネルギーになる。熱量とは、物質の温度が変化したときに、物質が受け取ったり、失ったりする熱エネルギーの量である。エネルギーは通常J(ジュール)という単位で表す。