<物質の成分>
1)元素
地球上に存在する「物」を物質といい、物質の成分は、全て化学式で表すことができる。また、この物質の成分を構成しているものは100数種類の元素である。
例: 水(化学式H2O)) → 物質である水は元素HとOからできている。
二酸化炭素(化学式CO2) → 物質である二酸化炭素は元素CとOからできている。
ということは、名前と元素記号が一致しなければ話しにならない・・・そこで、元素記号を覚えなければならない。しかも、周期表の通りに!!別表を参考に覚えよう。その他、なにが金属で、なにが非金属かも覚えておくと良い。
2)単体と化合物
物質の成分を構成しているものは、元素であった。ここで、その成分をどの元素が、どの割合で構成しているか考えてみる。物質には単体と化合物がある。
例:水素H2,酸素O2,鉄Feなど1種類の元素で構成されている物質を単体という。
水H2O,二酸化炭素CO2など、2種類以上の元素で構成されている物質を化合物という。
3)同素体
同じ元素からできている単体でも、性質が異なるものが存在する場合がある。そのようなものどうしを互いに同素体という。これは粒子の結合の仕方などが違うために生じる。
例:硫黄S,炭素C,酸素O,リンPには同素体が存在する。同素体が存在する元素はSCOPスコップと覚えるとよい。
硫黄 S | 斜方晶系硫黄と単斜晶系硫黄とゴム状硫黄 |
斜方硫黄と単斜硫黄はどちらも硫黄の結晶であるが、結晶の形がちがう。また、ゴム状硫黄は硫黄がゴムのような状態になっている。 | |
炭素 C | 黒鉛とダイヤモンド |
黒鉛もダイヤモンドも炭素からできている.炭素の結合の仕方がちがう。黒鉛は柔らかく、熱・電気の伝導性があるが、ダイヤモンドは硬くて伝導性がない。 | |
酸素 O | 酸素とオゾン |
結合している酸素の数がちがう。酸素はO2、オゾンはO3 。 | |
リン P | 赤リンと黄リン |
リンの結合の仕方がちがう。黄リンは固体で、自然発火するが、赤リンは粉末で自然発火しない。 。 |
4)成分元素の検出
炎色反応
ナトリウムやカリウムを含む物質を炎の中に入れると、炎の色が元素特有の色になる。これを炎色反応という。
リチウムLi(赤) ナトリウムNa(黄) カリウムK(紫) カルシウムCa(赤橙) セシウムCs(青紫) リアカー 無き K村 加藤(は) せっせと 銅Cu(青緑) ストロンチウムSr(紅) バリウムBa(黄緑) 努力 するベー 馬力 語呂合わせ(深い意味はない。覚えるだけ) |
沈殿反応
物質の水溶液(物質を水に溶解したもの)に、ある試薬を加えると反応して水に溶けない物質が生成し、溶液が濁ることがある。これを沈殿という。沈殿の生成はその物質に特有なので、特定の成分の検出になる。
5)純物質と混合物
物質には純物質と混合物がある。1種類物質のみの場合、純物質といい、2種類以上の純物質が混ざっている場合、混合物という。2)の単体と化合物を含めて、次にまとめる。
物質 | 純物質 |
単体 …1種類の元素からできている物 。 例)酸素O2、鉄Fe、ナトリウムNa、炭素Cなど |
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化合物 … 2種類以上の元素からできている物質 。 例)水H2O、二酸化炭素CO2、塩化ナトリウムNaClなど |
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混合物 |
・・・ 2種類以上の純物質が混ざったもの。 。 例)海水、空気、塩酸(塩化水素HClの水溶液)など |
問題 次の(a)~(g)を単体・化合物・混合物に分類せよ。
(a) 氷 (b) 空気 (c) 鉄 (d) 水素 (e) 海水 (f) インク (g) 石英 (h)塩酸
まずは混合物か純物質かに分類する。何と何が混ざっているかを考える。思いつかなければ、純物質。
混合物:(b)空気,(e)海水,(f)インク,(h)塩酸
(b)空気は酸素と窒素の混合物 (e)海水は水に多数の塩分が溶け込んでいる混合物 (f)インクは色素など多数の物質の混合物。(h)塩酸は塩化水素HClを水に溶かした溶液のこと、つまり塩化水素と水の混合物。(注意)
純物質は単体か化合物かに分類する。基本的に単体は元素名をそのまま物質名にしていることが多い。また各物質を化学式にして判断してもよい。
単体:(c)鉄,(d)水素
どちらも物質名と元素名が同じ、また化学式にすると、Fe,H2となり1種類の元素からできているので単体。
化合物:(a)氷,(g)石英
(a)氷は水H2Oの固体、(g)石英は二酸化ケイ素SiO2のこと。どちらも2種類以上の元素からできているので化合物。
6)物質の分離生成
・ろ過
液体とその液体に溶けない固体の混合物を、ろ紙などを用いて分離する操作。
・蒸留
液体(揮発性物質)に個体(不揮発物質)が均一に溶け込んだ混合物を加熱すると揮発性物質だけが蒸発し、これを冷却すると純粋な液体成分として分離することができる。この操作を蒸留という。
ビーカーやフラスコに液体を入れて加熱する場合は、必ず金網を敷き、その下からガスバーナーで加熱する。直接加熱すると、局部的に熱せられ、器具が破損する恐れがある。
・分留(分別蒸留)
2種類以上の液体の混合物を沸点の違いを利用して各成分に分離する操作を分留という装置は蒸留と同じ。
・再結晶
液体に2種類以上の個体成分が溶け込んでいるとき、この固体成分を温度による溶解度の差を利用して分する方法。
・抽出
固体または液体の混合物に、その中に含まれる特定の成分だけをよく溶かす液体(溶媒という)を加えよく振り混ぜて、特定の成分を溶かし出して分離する方法
必ずしも、有機溶媒層が上になるとは限らない。有機溶媒の種類により、有機層と水槽の上下が決まる。
・昇華
個体を加熱したとき、液体を経ないで直接気体になる状態変化を昇華という。この性質を利用すると、ヨウ素やナフタレンなどの昇華性のあるものを分離できる。
・クロマトグラフィー
水性インクのように複数の溶質が混在する溶液を長方形に切ったろ紙の下端に塗布して乾燥させ,このろ紙を適当 な溶媒中に立てると,溶媒はろ紙にしみ込み,ろ紙の上部に上がっていく(これを毛細管現象という)。このとき,塗布 した混合物中の成分で,溶媒に対して溶解性が大きく,ろ紙に対して吸着性の小さいな成分は溶媒と共にろ紙の上部 へ移動する。逆に溶媒に対する溶解性が小さく,ろ紙に対する吸着性の大きな成分は,ろ紙の下部にとどま。このよう にろ紙などに対する吸着性の差を利用した分離方法をクロマトグラフィーという。
問題 次の文は物質の分離法について書いてある。分離方法名をそれぞれ記せ。 。
(ア) 沸点の差を利用して液体と固体を分離する方法。
(イ) 高温溶媒に溶かし,冷却後結晶を取り出す。
(ウ) ろ紙で液体・固体に分離。
(エ) 沸点の差を利用して液体と液体を分離する方法。
(オ) 溶媒に対する溶解性の違いを利用。
(カ) ろ紙などに対する吸着性の違いを利用。
(ア)蒸留 (イ)再結晶 (ウ)ろ過 (エ)分留 (オ)抽出 (カ)クロマトグラフィー
問題 次の図について,次の問いに答えよ。
(1) 器具A~Cの名称を記せ。
(2) 分離法の名称を答えよ。
(3) 温度計の球の位置は次のどれがよいか。
(ア) 図に示された位置 (イ) 側管の付け根の位置 (ウ) 液面付近 (エ) 液中
(4) 器具Bに通す水の向きは,次のどれがよいか。
(ア) 下から上 (イ) 上から下 (ウ) 上,下どちらでもよい
(5) 溶液の他に器具Aに入れるものを記せ。またそれを入れる理由も記せ。
(1)A:枝付きフラスコ B:リービッヒ冷却器 C:アダプター (2)蒸留または分留 (3)イ (4)ア(下からの方が水か貯まるので、全体が冷える) (5)沸騰石 突発的な沸騰を防ぐため。(沸騰などの状態変化には物理的なきっかけが必要で、沸騰石が入ることによってきっかけができ、穏やかに沸騰する)