量子論による電気の理解一覧

 これまでの古典電気磁気学(マクスウェルの方程式によって、電気・磁気学の基本法則が全てそろった)から、さらに進んで電子と電磁波の本質的な理解を深めることになったのが、量子論です。

 JJトムソンによる電子の発見はこれ以上分割できない基本的な粒子と考えられていた原子を物質の最小基本粒子と見なしてきた原子理論に終止符を打ちました。
ラザフォードによって原子核が発見されると原子核の周りを電子が回っているという原子のイメージが確立し、陽子が発見されると原子はなぜつぶれないのかといった疑問が出てきました。

 これは、円運動する電子(電荷を持っている)は従来の考え方からすると、電磁波を発して、エネルギーを放出するから次第に減速して、原子核に吸収されるはず。
 二つ目は、原子核の非常に狭いところに陽子が集まっているということは、正電荷による反発力が非常に大きくなるのに、それをつなぎとめているのは何か,というものでした。

 19世紀にはすでにその存在が知られていた各種の原子を加熱すると特異な光を出すスペクトル線のことやプランクの黒体放射の実験から電子には質量と電荷という本質的な性質にスピンという不思議な性質があることがわかってきて量子という考え方が出てきました。

 ド・ブロイは電子や原子は本来粒子であるが、逆に波動であってもよいとする物質波の概念を提唱し、それを受けて、シュレジンガーは波動方程式を発表し、その解は水素原子の光スペクトル線にかんする現象と正確に一致しました。

 このことは電子が回転していても電磁波を放出さないことが示され、原子が潰れない理由が理論的に示されました。

 さらに、デラックはシュレジンガーの波動方程式を相対性理論の4次元化することによって、反粒子の存在を予測し、その後、陽電子(電荷の符号だけが負である)、反陽子(電荷の符号だけが負である)が確認され量子力学が確立しました。

 二つ目の答は湯川博士の中間子理論です。

 力は粒子を交換することによって生ずることがわかってきて、湯川はその考えを原子核に適用して、中間子という粒子を仮定し、その力の到達距離(粒子の移動距離)が原子核の大きさ程度とすれば、その質量は電子の300倍、陽子や中性子の6分の1程度であると推定し、後にその粒子が確認され、素粒子論の発展に大きく貢献しました。

 これは、原子核を小さな領域に閉じ込める力の存在を証明したことになりました。

 現在では、陽子や中性子は、もっと基本的な粒子であるクォークからできた複合粒子であることが分かってきて、物質の素粒子は、クォーク、電子、ニュートリノ、ミューオン、レプトン等であることが知られています。