ヤブガラシ(藪枯らし) の特徴・植生・植物文化を解説

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ブドウ科ヤブガラシ属
学名:Cayratia japonica

■特徴・分布・生育環境

ツル性の多年草です。茎が紫色を帯びているのが特徴です。

ツルをよく伸ばして藪や低木を覆うように繁茂します。

日当たりのよい畑の脇や荒地、林縁に普通に見られます。

地下に径1cm近い太い根を伸ばしてあちこちから新芽を出します。

夏に葉腋から花茎を伸ばして平らな皿型(集散花序)に径5mmほどの淡緑色の小さな4弁花を多くつけます。

花後に花盤が紅色から橙色になるのが特徴です。

葉は5枚の複葉からなり、小葉は長さ4~8cmほどの卵状で葉先は三角形状から鈍頭まで変異があります。

小葉には波状の鋸歯(葉の縁のギザギザ)があり、鋸歯の先は鋭三角形状です。

日本各地から東アジア・インドに広く分布します。

多摩丘陵では、日当たりのよい畑の脇や林縁などによく見かけます。

 

▲ヤブガラシの花

▲ヤブガラシの花と葉

▲ヤブガラシの新芽

■名前の由来

藪などによく生育して、低木などを覆って枯らしてしまうこともあることから「藪枯らし」です。「辛子」とは無関係です。

このような生態から「ビンボウカヅラ」などと呼ばれることがあります。

■文化的背景・利用

平安時代の「本草和名」に「和名 比佐古都良(ひさこづる)」などとして現れているとされています。

また、江戸時代の「本草綱目啓蒙」にも「ヒサゴヅル」や「ビンボウカヅラ」の名が現れています。

貝原益軒による「大和本草」にもその名が現れています。

■食・毒・薬

民間で、根を煎じて消炎、鎮痛や利尿などに用いるという報告があります。

有毒であるという報告はなく、一部で若葉を茹でて食用にする事があるようですが美味しくはないようです。

■似たものとの区別・見分け方

似たものはありません。