コイルガンとは
コイルガンは、強力な電磁石が周囲の強磁性体を引き寄せることを利用し、その強磁性体を加速する装置であり、別名ガウスカノンとも呼ばれます。
コイルガンは、一種の電磁的飛翔体加速装置なのですが、代表的なそれのレールガンに比べ、電源に要求する電流が小さい、砲身に要求する強度が小さくてすむなどの長所や、制御方法が複雑になるなどの欠点があります。また、レールガンに比べ、重い弾を遅い速度で発射するのに適しています。
最近コイルガンを紹介する動画が増えているようです。おそらく、某アニメの影響でレールガン等電気加速をやってみようとした人が、レールガンは無理だからとコイルガンを作って、それが完成してきているのかと思います。
しかし、コイルガンはその性質上高い電圧、大きな電流を扱うので、電子工作初心者が作るには危険な物です。事故が起こると他の人にも迷惑がかかる可能性があるので、十分な知識をもち安全に気をつけて実験するようにしてください。 また、加速された弾も入力エネルギーが大きければそれなりの威力となりますので、特に先端を尖らせた場合等けがに気をつけてください。
(追記:初号機はたいして知識を持っていないころに見よう見まねで作ったものなので、いろいろ不出来があります。その点ご了承ください。その後、改良型もつくったので、ページ下部の「追記」部分もご覧ください。)
仕組み
なお、仕組みのもう少し細かい部分に関してはコイルガンの原理を解説したページに書いていく予定です。
中に何も入っていないコイルの近くに強磁性体(鉄など)を置き電流を流すと、コイルの中心に向かって引き寄せられます(下図)。何が起きたかというと、この鉄片は電磁石に引き寄せられただけです。
また、電気を流している間は常にコイルの中心に向かって力が働くので、摩擦を無視すると、鉄片はコイルの端と端を行ったり来たりするのをを永遠に繰り返します。しかし実際には摩擦が働くので、次第に振幅が小さくなり最後には止まります。大容量のコンデンサから電気を供給するなど、電源が十分に強力だと実際にこのような動きをします。
さて、このままだと問題が発生しますね。何しろ「仕組み」の中でまだ飛び出すとか発射されるとかいう言葉を出していません。それどころか止まるとか振動するとかいう言葉ばかりです。実際に弾を発射するにはもうひと工夫が必要です。
要はコイルの中心に弾が来たときにコイルに流す電流を止めればいいのです。そうすれば、鉄片がコイルの中心まで吹っ飛んだままの勢いで発射されます。
また、一つ目のコイルで発射された弾を、別なコイルでさらに加速してもっと速く加速することもできます。
実際にコイルガンを作ってみると、タイミング良く制御するのが意外に難しいことが分かります。その制御方法は、弾の位置をセンサで調べたり、ちょうど良い容量のコンデンサを使ったり、試行錯誤を繰り返してマイコン(この用途だとPICが最適かと、ノイズに強いし)&MOS-FETで制御したりする方法があります。
今回はかなり多くの加速用コイルを使用し加速するので、センサで検出して、MOS-FETでコイル電流のスイッチングを行います。
コイルガンをつくってみた
大きく分けると、次のようなものが必要となります。
・コンデンサバンク
・充放電回路
・加速用コイル
・制御回路
・飛翔体
コンデンサバンク
コイルガンはレールガンに比べて、それ程電源に瞬発力を要求しませんが、やはり、かなりのエネルギーを蓄える必要があります。コイルガンでは電解コンデンサが最適であると考えられます。コンデンサの容量は大きければ大きいほど良いと思われますが、実際は財政的な問題から容量は限られます。最大のコンデンサの蓄積エネルギーは750Jとなりました。(後に容量不足が問題になり1000Jまで容量アップすることになりました。)
この制御方法の場合は、です。単段の場合は最適な容量・・というか放電時間があるので、多ければ多いほど良いというわけではありません。
今回作るコイルガンは、超大電流を流して瞬間的に加速するものではなく、程々の電流でじっくり、高い効率で加速することが目標であり、コンデンサは蓄積エネルギーが大きければ何でもOKだと思われ、安価なものを大量に使いました。(配線は面倒ですが)
内部抵抗を考えると、充電電圧に単独で耐えられる耐圧のコンデンサをパラった方が良くなります。
このコンデンサはかなりの高電圧がかかり、直接触るとヤバいので、ある程度のまとめて、箱の中に封印して直接触れないようにしておきます。
パワーアップした後のスペックは耐圧250V容量32000μF(蓄積エネルギー1000J)
充放電回路
充電する電圧が高く、内部抵抗の小さい電源であり充放電でさえ危険が伴ううえ、過電圧がかかるとコンデンサが爆発する危険もあります。ので、安全のため、充電回路を箱に封印して、かつ自動で制御できるようにした方が良いと思われました。
回路を下に示します。
基本構造としては、コンセントから電力を供給し、倍電圧整流を行い280Vをつくり、それを充電という流れです。
・C1,C2倍電圧整流時の平滑化用220μF200V
・C3コンデンサバンク32000μF250V
・D1,D2,D3 整流用1000V1A
・D4過電圧保護用のツェナーダイオード240V0.1A
・D5LED過電流保護用ツェナーダイオード 5V
・D6電圧表示用LED(電圧が十分だと点灯)
・D7コンデンサ逆充電保護用
・L1コンセントにつないだ瞬間のラッシュ電流を抑える
・R1電流制限用2kΩ40W
・R2保護回路のさらに保護用47Ω1W
・R3LEDの電流制限用
・S1右に繋ぐと充電、左に繋ぐと(安全に)放電
実際製作したものは、これ以外に制御回路用の直流電源や、冷却用のファンが付きます。さらに弾の光学式検出に使うLEDの定電流電源も付きました。
実際に基板上に作ってみるとこんな風になりました。(下の写真)
(これは、回路図の左半分です。)
写真左の、やけにでかく黒い、円筒形の怪しげな部品は何かというと、実はL1です。適当なものが無くて自作したらやけにでかくなりました。(もう少し考えてから作るべきだった。)
ここでしっかり電流制限かければ倍圧整流の先の抵抗を省けるので、蛍光灯用のチョークコイルあたりが使えるならそれがよいかと。
他には、基板に取り付ける用途でない電源トランスが針金で固定されていたり、出力の線の本数がやけに多かったりしますが気にしてはいけません。
この電源ボードの性能は、
(高圧電源)開放電圧 280V定格電圧 240V電流 200mA
(低圧の方の電源)電圧15V 電流300mAくらいです。
そして、コンデンサバンクと充電回路を一まとめにして箱に収納したものが下の図です。
自作っぽさがはっきり現れる筐体です。紙製ですが、そこそこの強度と絶縁性があります。
表側のパネルに見えるものの左側から、通風孔、出力端子、充電スイッチ、表示や、制御用電源を供給したりするためのボードとなります。
さらに裏側には充電回路から出る熱を排出するためのファンが取り付けられていたり、手間をかけた分高性能・高機能になっています。
加速用コイル
いよいよ加速用のコイルを巻きます。これが無いとコイルガンにはなりません。このコイルは、適当な大きさに収めつつ、多くの巻き数で、内部抵抗を小さくする必要があります。そこから、やはり電線はアルミ製(安いのだが)ではなく銅製にして、なるべく隙間ができないように丁寧に巻く必要がありそうです。
内部抵抗は小さいほうが出力が大きくなりますが、あまり小さいとMOS-FETに負担をかけるので、4.5Ω前後にします。これで、240Vかけたときに、50A強流れます。MOS-FETのパルス耐電流は60Aなので並列にしなければこのくらいが良いでしょう。
結局、コイルは太さ0.6mmのエナメル線を約800回巻きで直流抵抗4.5Ωとなりました。
後から考えると、これは磁界強すぎで、効率が落ちることが判明。詳しくはコイルガンの原理の方で。
加速用コイルには、後で述べる制御回路やスイッチング素子が取り付けられており、外部とは電力線のみでつながるので、配線が単純にできます。
しかし、中心部が1Tを超える強力な電磁石のすぐそばでは、いくら直撃を食らわない位置にあるとはいえ、かなりの磁場(FDなら楽勝でデータが消去されるくらい)に曝されるので、半導体が狂ったり、回路にノイズが乗ったりしないか不安です。
1Tにはぎりぎり到達しない。コイルガンシミュレータでは0.99Tと出ました。また、無限長ソレノイドの外側には磁界が発生しない性質(有限だとコイルが短くなるごとに磁界は強くなる)から、当時考えていたよりは制御回路にかかる磁界は弱かった可能性はあります。)
一応1回はフルスロットルに耐えられたので、多分大丈夫だとは思いますが、まだ安心はできません。試射の段階では、フルスロットルでも発熱が少なく、銃身につく傷も浅いようで、そこそこの性能を発揮できると思われます。
制御回路
多段式ということで、精密な制御と高速なスイッチングが要求されます。今回はアナログ回路で検出して、MOS-FETでスイッチングを行うようにします。
回路を上に示します。
・D1検出するための光源用LED(超高輝度黄色)
・D2状態表示用の赤色LED(通電中に点灯)
・D3電圧をドロップするための5.1Vツェナーダイオード
・D4ゲート保護用 24Vツェナーダイオード
・D5MOS-FET保護用バックダイオード(サージ60A)
・L1加速用コイル
・Q1ON-OFFをはっきりさせる用 2SA1015GR
・Q2加速用コイルのスイッチング用 MOS-FET 2SK3192
・R1飛翔体検出用 CdSセル
・R2調整用(うまく検出できないときは変える)
・R3電流制限用
上の写真で、加速用コイルの上に実装されています。
(ビニールテープで隠されて良く見えませんが)
飛翔体
今回は、速度より運動エネルギーや力積を追求して硬い物体への威力を高めるような設計にしてあります。またその一方でトラブル防止の目的で、殺傷能力を下げたいので、重くて先端が尖っていないものが良いと思います。
かなりの重量感のある弾ということで、M8ボルト(長さ55mm)にナット6個も取り付けた質量50gの弾になりました。発射トルクが半端無く強いので、単三乾電池を平気で発射できたりします。
発射するときの力は断面積比例(つまり圧力が一定)のため、太い弾だと非常に力強く発射されます。
ただ、あまりにも反動が大きくて銃身に負担がかかりそうなので、もう少し軽い弾にすることも考えています。
とりあえず試射
さて、これまで説明したものを作った段階で一通りの装置ができているので、試射してみることにします。
まだ、加速用コイルは1個だけですが、最大出力だと弾丸がぶつかった種も仕掛けも無い単一型乾電池が吹っ飛びます。
一回の発射で、コンデンサの蓄積エネルギー700Jのうち160J程が消費されるようです。もう少し容量を大きくしないと10段目には殆ど供給されなくなってしまうことでしょう。(コンデンサ増量決定24mF=>32mF)
今回は同じものをいくつも使って多段加速を行えるはずですが、
しかし2段目でうまくいかず
どうしよう。とりあえず、加速用コイルに流れる電流の時間ごとの変化などを知りたいので、オシロスコープなどがあればそういうので調べたいのですが、うちにはそのような贅沢品は無いので、PCのマイク入力に繋いで調べてみました。それが右のグラフです。電源が流した電流の時間による変化を示している(はず)です。
(縦線の1目盛が10msで、横線の1目盛はもはや殆ど意味がありません。)
やはり、オシロスコープを使わないと無理か?
ここから分かったのは、鉄製の弾などで、予想以上にコイルのインダクタンスが大きいということと、PCのマイク入力のコンデンサの容量がかなり小さく低域が入力できないということです。
「あっそうだ!!いいこと思いついた!!適当な波に信号を乗せればいいか。」
とりあえず上の図が、その結果です。x軸が時間変化で、1ピクセルが44100分の1秒です。y軸は、(ADコンバーターの)電位変化です。
2kHzの波(IC555で作った)に信号を乗せたのですが、意外と理解できる波形になりました。でもやはり波形が汚いです。せめてインダクタを信号のラインに付けるべきでした。
そうだ、まだ書いて無かったのですが、PCとコイルガンの電位差で、PCが傷むのを防ぐため、取り込み中はバッテリーで動作させるようにしました。
上下にスライドさせるなどの適当な処理を加えた上でなるべく滑らかな曲線で繋げると、上のような図になり、コイルのインダクタンスが10mH弱であることさえ読み取れます。
ちなみに、これを記録したファイルはwavファイルで、2kHzに乗せたりしたので、これを聞くと普通にピッとか聞こえます。
これを見る限りでは、インダクタンスによる遅れは2段目では十分許容範囲内に収まっており、電気的には加速できるはずなので、機械的な改良を施すことにしました。
その後の実験では、結局一番の問題は反動でコイルが後ろに下がってしまうことであることがわかりました。そこで、反動を減らし、コイルの固定を頑丈にするとともに、多少後ろに下がっても問題が生じないように銃身を工夫することにします。
2段目の失敗から、次のように改良するようにします。
・1段目コイルの抵抗値を大きくして、反動を小さくする。(その分5段目あたり以降で一気に加速)
・加速用コイルは、木製の台にしっかり針金で固定するようにする。(従来はビニールテープ)
・銃身を紙製から、透明な塩化ビニルのホースに変更。(アクリルパイプは売り切れだった)
これらの結果、2段目までは加速できるようになりましたが、3段目ではもう加速されません。これは、インダクタンスの大きさが問題となり、スイッチングのタイミングが悪くなったと考えられます。
そこで、今度は、LCRシミュレータなるものを作り研究しようかと思います。
注意
絶対に感電しないように十分注意して扱ってください。感電するとかなり痛いです。
トラブル防止のため、銃口は絶対に人に向けないでください。暴発することも考えられます。
銃刀法では、火薬とか高圧ガスで加速するものを銃と定義しているので、純粋に電磁力で加速するコイルガンはガンといっても銃には該当しないと解釈できます。ただし、レールガンはプラズマに頼る部分があり、白と言い切れないことや、サーマルガンは思いっきりジュール熱で加熱して膨張した空気を使うことで黒だと思われることなどから、レールガン、サーマルガンは研究しない方が身のためだと思われます。
追記1:モバイル・コイルガン
上記の初号機の改良版であるモバイル・コイルガンのつくり方を解説します。
今回使うもの
・コンデンサバンク
・充放電回路
・加速用コイル
・制御回路
・飛翔体
コンデンサバンク
今回は、4段加速で、それぞれ独立したコンデンサバンクを使用します。
モバイル向けで、電源が貧弱であることと、十分な出力を確保したいということを考え、合計66Jのコンデンサバンクを使うことにしました。
3300μF50Vのコンデンサを2直列2並列で接続した、3300μF100Vのコンデンサバンクを4個使います。コンデンサは、以前に秋月で、50個1500円で購入した、パナソニック製のものを使用しました。
これは、他のサイトで紹介されているようなコイルガンに比べかなり小さい容量です。しかし、この容量でも、効率が良ければ結構な出力のものが作れると考えられます。
上の写真は、完成品に組み込んだ後のもので、保護用のダイオードが空中配線で実装されています。1000V1Aのダイオードを、コンデンサ2個並列に1本、充電回路への逆流を防止する目的で1本、600V2Aのダイオードをコンデンサバンクに1本、コイルのバックダイオードとして1本実装しています。
コンデンサ、コイル、MOS-FETの1セットはある程度独立性があり、外部とは、GNDと充電電源と制御信号1本の3本だけの配線でつながります。また、こっらは4セット実装されていますが、まるで、コピペしたかのように同じものが4個となっています。
充放電回路
充電には、高効率高電圧電源を用いて単三型Ni-MH電池8本から100~120Vに昇圧することにします。
上の写真は、その基板の写真です。この上に、制御基板を乗せることができるようになっています。
また、電源の電池は、この基板が乗せてある板の裏側に固定されています。
充電回路は、単純に、ツェナーダイオードを使った定電圧充電であり、効率は悪いです。さらに、充電が完了した後も、電力を消費し続けます。一度完成した後、効率の良い充電制御を行えるようにする工夫はしようと思います。
これでも、電池は3~4時間は持つはずです。
C1 3300μF100V
D1 12V1W x 8 => 96V
D2 1000V1A
E1 単三型Ni-MH電池8本
R1 100Ω0.25W
S1 1A以上
しかも、充電回路を考えた後、スイッチと、ツェナーダイオード、抵抗器を実装するスペースを忘れていたことに気がついたため、空中配線をすることになりました。
今回は電圧が100Vとそれほど高くなく、蓄えるエネルギーもそれほど大きくないので、安全対策は、前作ほど万全ではないです。100Vなら、おそらく感電しても痛いだけで済むし。
充電を繰り返すと、昇圧回路のトランジスタがかなり発熱します。それでも、定格の範囲内には収まっているようではあります。また、コッククロフトウォルトン回路のコンデンサも発熱します。定格リプル電流を調べていないのですが、熱いという程の温度ではないので、多分大丈夫だと思われます。コンデンサの寿命は周囲温度105゜Cで2000時間とかで、実験にせいぜい数十時間使うだけなら、過負荷でも耐えうると思います。
充電速度はこんな感じになっています。
加速用コイル
今回は駆動電圧が100Vとやや低いので、抵抗値が小さくなるように巻きます。およそ250回巻き。巻線の抵抗値は0.4Ωくらいです。
できあがったものは結構太くなったが、中身には空洞があるためで、前作よりは結構軽くなっています。
前作より効率を高めるため、磁気回路をつくります。磁気回路は、鉄製のワッシャーと太さ1.2mmの針金を使用しました。飽和するかもしれないですが、無いよりはいいと思います。
このコイル4個に、内径8mm、外径10mm、長さ180mmの筒を差し込み、加速する部分を作ります。これにより、内側の筒が壊れた場合に、筒だけを交換できるようになります。上の写真はその状態のもの。
紙製だと、耐久性が不安ではありますが、今のところ強度の問題はない。
上の写真は、完成したものの、その部分の写真です。MOS-FETとコンデンサも近くに配置して、配線を楽にしたり、抵抗を小さくしたりしています。
なお、前作で問題となった、反動によりコイルが動いてしまう問題は、台座にしっかりと固定することで対策をしています。写真では見えないが、接着剤でも台座と固定されています。(針金だけでも固定する力は強いが、それでも反動で動くので、接着剤で補強した。)
制御回路
C1、C4 0.1μF トリガ電流を蓄える
C2 0.1μF 回路の安定化用
C3 0.1μF ON時間を決定
D1 トリガを解除
D2 状態表示用
E1 006P 9V 乾電池
Q1 2SC1815 スイッチング用
R1 100kΩ 電流制限
R2 30MΩ 数秒後にトリガの解除
R3 10MΩ トリガピンのプルアップ
R4 1kΩ 電流制限
R5 1MΩ 電流制限
R6 100kΩ 電流制限
R7 1MΩ ON時間を決定
R8 500kΩ可変抵抗器 次を動作させるまでの時間差を決定
回路図の、R3、R4、D1から右を必要な数だけつなげることで、多段式加速の制御を行います。(回路図をクリックすると、今回作った、4段加速の場合の回路図を表示する。)
上の写真は、回路を試験的に組んだときのもので、この写真では2段目までがONになっています。
静止画では伝えにくいので、動画を撮影しました。
もちろん、実際のコイルガンでは、こんなに遅く制御するわけではないです。これは、回路が正常に機能するかどうかを目で見て確かめられるようにするための設定にしたからです。
回路図を見てわかるように、マイコンを使わないで時間差の制御を行えるようにしました。 マイコンを使うためには、ライタを買わなければならず、結構なコストがかかります。また、PICマイコンでは5Vより高い電圧で駆動できないので、MOS-FETの制御に、追加の回路を要求することを考えると、部品点数もそれほど差がないので、こっちの方がいいかもしれないです。
なお、ON時間に対して時間差が極端に短いと、特性のばらつきによりOFFになるタイミングがおかしくなる場合が生じますが、重要なのはONになるタイミングであり、OFFにはなりさえすれぼ良いので気にしないことにします。
IC555は直接9Vとか12Vなどを扱え、また、数十mAの電流も流せるので、IC555の出力ピンと、MOS-FETのゲートは直結できます。
飛翔体
今回は、投入エネルギーが66Jとかなり小さいので、軽い弾を使うことにします。また、多段式加速を制御する方法が、時間差制御のみということで、同じ質量の弾を使う必要があります。
そこで、今回は、ホームセンターで買った直径7mmの鉄球を使うことにしました。
質量は、約1.5g。投入エネルギーが66Jなので、
E=1/2mv2 を変形して v=Sqr(2E/m)
(E 運動エネルギー m 質量 v 速さ)
効率が1%で30m/sほどの速度で発射できることになります。
この形状ではやはり貫通能力は低いです。
完成
必要なパーツが全て9x36cmの木の板に載ります。重量は電池込みで1.1kgです。
この後、充電用の電源を2段目まで配線して、可変抵抗器を調整して、威力が高くなる設定を探ります。次に3段目まで配線し、調整します。次に4段目の配線、調整。
1段目だけの場合、コピー用紙は貫通したが、135kg上質紙は貫通せず。2段目の配線、調整を行うと、135kg上質紙を貫通しました。
3段目以降の配線を行うと威力はさらに向上しました。しかし、直感に頼った調整なので、最適な設定を探るには弾の速さを測定する器具をつくった方が良いと思います。
試射
上の写真は135kg上質紙にゼロ距離射撃をする様子。この時の投入エネルギーは最大エネルギーの66J。
速度を測定していないので詳しいことは不明ですが、効率はまだ悪く、1%に到達していないと思います。
今後の目標としては効率の向上を挙げます。
一応、威力は、以前に作ったマイコン制御で、20J投入のものに比べると強くなっています。
弾を固定する機構が無いため、水平か上を向けての発射しかできません。以前作った文化祭用のコイルガンでは、磁石を使って固定する方法で、下を向けても弾が落ちないようになっていたので、その機構は搭載しても良いかもしれないです。
上の写真は、上のような状態で発射して、弾が貫通した上質紙です。貫通した後の弾は、雑巾で受け止めましたが、結構激しく衝突するようなので、もう少し厚い紙も貫通できると思います。
少し離れた位置に置いたルーズリーフに向けて発射した動画はこちら。このくらいの厚さの紙なら、余裕で貫通します。衝突した瞬間、紙が飛んでから、もとの位置に一瞬もどります。その時には、穴が開いていることがわかります。その後、紙は後ろに倒れます。
なお、この動画に入っている音は発射したときの音ではなく、紙に衝突したときの音です。
レールガンと違い、発射するときにほとんど音を出しません。大電流を流すことにより、コイルなどに力がかかることで生じる音と、弾が筒の内側にぶつかることにより生じる音が出ますが、いずれも小さいです。
今後
威力を上げるために、効率の向上をめざします。弾の速度を測定するための器具を作り、最適な設定を探ることで、ある程度の効率の向上は見込まれます。
また、充電効率の向上を目指します。それにより、同じ電池で発射できる数を増やします。
威力を向上させるための調整
より高い威力をもたせるために、効率を良くすることで改良をします。
上の写真のように、ある物体に弾を衝突させ、その物体の移動距離により、相対的な威力を測定します。
その情報をもとに、可変抵抗器を調整して、最適な設定にします。
調整がうまくいくとこんな感じになります。
いくつかの定数が不明なため、詳しいことは不明ですが、弾を当てたビニールテープは弾の10倍以上の質量があることを考えると結構な速度が出ていると考えられます。
予想以上に高速になったため、動画では、木の板から、ビニールテープが落ちかけています。
その状態で、今度は牛乳パックにゼロ距離射撃を行います。的が固定されている場合と、そうでない場合で、大きく貫通能力が変わってくるので、ここでは、しっかりと固定して威力を確保しています。
なお、固定に使っている物体はハンダ1kg巻で、中央の穴を弾が通るように置いています。
今回も、弾が変なところに飛んでいかないように、適当な布で受け止められるようにします。
結果:貫通
結構堅い紙なのだが(牛乳パック)
このときの動画はこちら。
追記2:小型コイルガン
上記の初号機・2号機の改良版である小型コイルガンのつくり方を解説します。
以下ではさらに高電圧を扱うものを紹介しています。このページを参考に実験して何らかの損害が発生しても責任は負えませんのでご注意ください。また、内容には十分注意しておりますが何らかの間違いが含まれる可能性もあります。
上記の文を十分に理解した上でお読みください。
というわけで前回のは、一応持ち運びができる大きさで、そこそこの威力とすることができました。今回は、さらに小型化と、高効率化をめざして改良します。
また、市販のキットに搭載して、装輪式自走砲とします。
前作の反省と、今回の改良点について
前作の発射速度に関して
前回は速度の計測を行っていませんでしたが、今回は弾速計測装置をつくり、その性能を確認しました。
計測方法は、一定の距離を離した2箇所のセンセの位置を通過する時間差から計算して求める方法です。
センサは、LEDとCdSセルで構成され、弾がLEDとCdSセルの間を通ることで光が遮られ、それによりCdSセルの抵抗値が変わり認識されるというものです。
なお、時間差の計測や弾速の計算までマイコンで行い、さらに液晶ディスプレイに表示するという高度なことをやっているサイトもありますが、今回は、製作の簡略化や、複雑な処理を簡単に行える利便性から、PCにサウンドカードから取り込みPCで処理することにします。
この場合、自分の使っているPCのサウンドカードでは最高サンプリング周波数が96kHzであるため、9万6千 分の1秒単位での測定となります。そのため、センサ間隔が10cm程度ではせいぜい数10m/sオーダーまでの計測となります。
実際の測定結果もそのオーダーで有効数字3ケタが確保されています。
上の写真のように配置して使います。(レトルトカレーの空き箱がちょうどいい高さだった)
上は回路図です。なお、このLineInと書かれたところをPCのラインインに繋ぎます。センサとPCの間にコンデンサによる直流成分の除去および、可変抵抗器によるレベル調節が組み込まれています。
結果、下図のようなデータが得られます。これは、取り込んだ波形に正規化処理を施して、WaveSpectraというソフトで描画して左右の波形をペイントソフトで合成したものです。なお、正規化処理は、ソフトに描画させるために行っています。速度測定の段階では、生のデータのまま用いています。
この左右で一番下がったところで判断しています。
ここから弾速を計算します。10回計測した結果は次のとおりです。
4.46ms4.45ms4.40ms4.45ms4.43ms
4.46ms4.44ms4.44ms4.40ms4.44ms
平均4.437msで22.54m/sとなります。有効数字3ケタで22.5m/s。
この結果わかることは、弾は意外と低速であったということと、弾速のバラつきが非常に小さく安定した加速がおこなわれていることです。
最高値と最低値の差はわずかに1.4%。運動エネルギーで計算しても2.7%の差しか出ていません。
多段加速について
本当に4段加速できているのかを確認しました。体感では3段目までは加速されたように感じられて、4段目は微妙でしたが、今回、弾速を計れるのでその辺りも測定できます。
3,4段目は充電用の線が容易に取り外せるので取り外して確認。2段目は半田付けされているので省略
2段目まで充電 14.8m/s 165mJ 2段目増加エネルギー 83mJ(推定)
3段目まで充電 19.1m/s 273mJ 3段目増加エネルギー 108mJ
4段目まで充電 22.5m/s 381mJ 4段目増加エネルギー 108mJ
3段目も4段目も加速されていました。しかし、全体の加速効率は0.58%と低いです。
加速時間について
このコイルガンに使用されているコイルは、実測値で直流抵抗が370mΩ(室温25℃近辺)、インダクタンスが87μHでした。
この数値を元に、時間と電流の関係をシミュレーションしたところ、右の図のようになりました。(なお、MOS-FETやコンデンサなどの抵抗の和を50mΩと仮定しています)
電流が最大の半分以上流れる時間は、1.4msです。この間に、4段目に入る直前の弾速と仮定で、27mm進みます。
また、コイルガンで、弾の大きさ
弾は左から右へ移動するとして、水色の部分で加速する力、黄色の部分で減速する力を受けます。
図から、効率よく加速できる区間は、コイル全長にくらべかなり短いことがわかります。効率よく加速できる区域に弾がきたときだけ電流を流すようにすれば、効率のよい加速ができることになりますが、放電時間1.4msだと、長すぎて無駄が多くなります。
効率よい加速のためには、放電時間1ms以下。0.5msとかにできるならその方がいい。と判断しました。
今回の設計について
こういう物を作ったら、やはり、こういうキットに乗せてみたいと思うので、それに乗せられる程度に小型化・軽量化をします。
前作では、コンデンサのエネルギーは合計66Jでしたが、今回は、軽量化のために減らす必要がありました。今度はコンデンサのエネルギーの合計は25Jです。これは、EMLとして非常に小さい値ですが、効率を高めることで、前作と遜色がない速度を目指します。
加速効率の向上は、放電時間の短縮をし、さらに放電を途中で止められる機構にすることで主に行います。また、初段加速用コイルと、2,3段目加速コイルの設計を変えています。前者は、小電流(といっても数10Aオーダーだが)長時間流すためにインピーダンスの大きいもので、後者は大電流短時間用のインピーダンスの小さいものです。
充電速度も速くします。蓄電すべきエネルギーが少ないので、同じ電源を使えば容易ではありますが、さらに出力の大きな電源を使い、さらなる高速化を目指します。目標は1発発射する充電時間10秒以内。
あと、前回は、006P電池と、単三型8本を使っていましたが、今回は単三型8本だけでの動作とします。
上の図のように、それぞれの部分に電力を供給します。
各部分の設計について
加速コイル
今回の加速コイルは上の図に示したような枠に巻いています。
初段は0.4mmφの線を約400回、2段目・3段目は0.6mmφの線を約200回巻いています。
2、3段目の直流抵抗は、前作よりやや高めで400mΩ強の設計です。1段目は割と適当です。
前回と比べると、コイルを巻く芯そのものが銃身を兼ねるようになっている点が違います。
これは、前作で、何回も発射してみたが、内側には傷はついていなくて、傷がつく場所は、銃の先端部分(外からものがぶつかる場所)であったため、先端を保護すれば、銃身自体は薄くても大丈夫と考えたためです。
銃身が薄くなった分、同じ回数巻くのに必要なエナメル線の長さが短くなり効率がよくなります。
今回は、小型化するために、鉄ワッシャを省きました。それにより、前回と比べてコイルはだいぶ細く見えます。(針金の磁気シールドだけつけてる)
右上写真のように、前回と同じように、加速コイルと、MOS-FETとコンデンサがひとまとめになっています。
上の写真は、コイル3段分を巻いたところです。
制御基板
今回は、OFFになるまでの時間も指定できるような構成にしているので、タイマーICが、発射段数x2-1=(この場合は)5個必要です。
前回のようなキワモノ回路ではなく、今回は、タイマICと、微分回路を使ったトリガ生成回路の組み合わせで、まともな構成のはず。
上の段に時間差を作る回路とトリガ生成回路、下の段にON時間を決める回路とMOS-FET駆動回路(とインジケータLED)が書かれています。
前作に比べて画像の大きさは大きくなっていますが、ICが多くなって、レイアウト的に線が多くなってしまったためで、実際に組むと、前作よりも小さな面積に実装できます。
上写真のように、前回の半分の大きさの基板に実装することができました。
回路図に二つあるスイッチS1 S2は、実際には、ひとつの2回路スイッチです。
通常時S1>GND S2>GNDに接続
(リセットピンがLowレベルなので発射されない)
スイッチを反転 S1>Vcc S2>Vccに接続
(RC時定数回路によりリセットピンの電圧が上がる
(上図2秒まで))
スイッチを反転 S1>GND S2>GNDに接続
(S1からトリガが発生し発射される)
(RC時定数回路によりリセットピンの電圧が下がる
(上図2秒から))
(発射し終わったころ、リセットピンの電圧がLowレベルになり元の状態にもどる)
動作テストの様子
肉眼で動作を確認できるように低速で動作させてます。
やはり動画でないと伝わらないですね。
前回のと違って、前のが消灯したあとに次のが点灯することができるようになっています。
この仕組みによって、発射エネルギーをケチります。
コンデンサ
それぞれの段ごとに、50V3300μFの電源用電解コンデンサを2本直列にして、100V1650μFにしたものを使います。
それを3セットなので、合計100V4950μF(25J)となります。
これに、充電するときの逆流防止ダイオード・逆充電防止のダイオードを保護用につけています。
なお、逆充電防止ダイオードは、通常、コイルの直流抵抗とインダクタンスによりますが、コイルの最大電流の半分程度のピーク許容電流のものを使用する必要がありますが、今回は、放電を途中で止める機構があるので、そちらには電流は流れないので、容量の小さいもの(ピーク30A)を使用しています。
また、途中で放電を止めるため、バックダイオードのピーク許容電流は、コイルの最大電流程度必要になるので、そちらは、ピーク150Aのものを使用しています。
充電回路
今回は、前回と違い、ごく普通なチョークコイルとスイッチ(パワーMOS-FET)とダイオードを使い、コイルの自己誘導で昇圧するようなものです。
効率は前回作ったコッククロフト・ウォルトン回路を用いたものに比べやや劣りますが、コンデンサの容量を小さくしたことに加え、電源回路の容量も増やしたため充電はかなり速くなっています。
今回は、前回の電源回路と違い、充電電圧が設定された値に到達したら、タイマーICの発振が止まるようになっています。(前回は、昇圧回路への電力供給を止めるやり方でした)
タイマICの発振を止める方法は、リセットピンの電圧をGNDに落とすやり方です。この方法だとICの出力はLレベルになるため、安全に停止します。
発振が停止している間の電力消費は、タイマICの待機電力くらいですが、実際は電圧検出に使っているコンデンサの容量は小さく、並列にいれた抵抗+ツェナーダイオードもあるため、充電>停止>充電>停止 を繰り返すことになり、数10mAオーダーの電流を消費しつづけるようです。
図は、充電回路の回路図です。
その他
コントローラは、例によって紙細工で外側が作られていて、そこにスイッチがつきます。
銃上下スイッチ発射スイッチ走行用モータ制御用ボリュームx2 が搭載されています。
走行用の2個に関しては、アナログ制御が可能となっています。
銃の上下は、ギアボックスの軸で糸を巻いて引き上げるという単純なやり方で行います。
なお、モーターは、4.8Vで動作できるように、巻き線を細い線を長く巻く改造が施してあります。
片方を中点(4.8V)に、もう一方を、スイッチで、9.6V 開放 GND に切り替えるという単純なやりかたで操作します。
走行用モーターの制御はPWMで行います。コントローラのボリュームと、LMC555のコンデンサ電圧を比較して、それを元に制御するやり方ですが、一応動きはしたものの出来が悪すぎるので回路図などは省略。
あと、弾を入れるのは手動です。いろいろあって断念しました。実装スペースとか加速効率とか・・
発射テスト
前回と同じ装置ですね。砲単独の性能試験では本体から取り外します。(そうしないと計測しにくい)
こちらでもちょうどいい厚みのカレー箱。
今回は多めに20回測定しました。
前回は完成していなかった解析ソフト(といっても最小を検索して処理するだけだからたいしたものではない)が完成し、そのソフトが直接速度を表示するので、速度で表記します。(4ケタ目は、測定器具の分解能の関係で、4程度刻みになってます。)
19.16m/s
19.32m/s
19.20m/s
19.35m/s
19.28m/s
19.32m/s
18.82m/s
19.12m/s
18.97m/s
19.24m/s
19.16m/s
19.05m/s
19.12m/s
19.32m/s
19.20m/s
19.35m/s
19.35m/s
19.32m/s
19.28m/s
19.16m/s
平均速度 19.20m/s
平均エネルギー 277mJ
最大と最小の差 2.82%
標準偏差 0.142m/s
(発射回数と速度の)相関係数 +0.0072。
前回に比べ、速度は落ちています。それでも前回の3段目までと同じ速度なので効率は倍以上になっています。
回数が増えたので標準偏差と相関係数を追加しています。前回に比べて、バラツキが大きくなっています。これは、効率を優先したため前回よりも安定性が犠牲になったことが考えられます。
相関係数の絶対値が0に近いので、回数が増え(=コイル温度が上昇し)ても速度の変化はほとんどないことがいえます。
さて、気になる効率ですが、今回のコイルガンでは途中で放電を止める機構がついているため、発射した後、コンデンサにエネルギーが残ります。そのため、実際に加速に使われたエネルギーを求める必要があります。
1段目 発射前 99.0V 発射後 72.2V 使用されたエネルギー 3.79J
2段目 発射前 99.0V 発射後 59.6V 使用されたエネルギー 5.16J
3段目 発射前 99.0V 発射後 87.4V 使用されたエネルギー 1.78J
3段目がほとんど使われていないという結果でした。それでも3段目で加速されるため、放電時間はさらに短い方がいいのかもしれません。
合計消費エネルギー10.7J
ということは・・効率 2.58%
目標の効率1%を大きく超え、一気に2%台まで上がっていました。
全体の動作テスト
走行テスト
結構動きは速いです。また、アナログコントローラの効果で、微調整も効きます。
出来が悪すぎるというのは、走りではなく、PWMの信号でスイッチングするトランジスタが発熱する問題があるということです。流す電流の割に発熱量が多すぎる気がします。
それでも、一応動作はするので、そのまま撮影しました。
発射テスト
ターゲットへの発射テスト。
写真は当たった瞬間のものです。
跳弾が怖いのでやや右を狙ってます。(操作してる人は左にいる)