今日大型の発電機として最も広く使用されているのは3相交流発電機です。その電気は発電所から変電所に送電され、変電所から工場などに配電され、また、電柱の上に取り付けられた変圧器(柱上変圧器)で単相に変換されて一般の家庭用に届けられます。
この、3相の電気を大きな動力(機械力)に変換するのに最も一般的に使用されているのが3相かご型誘導電動機です。
ニコラ・テスラが回転する磁界を考え付いたのは2相交流ですが、当初回転子に電磁石を使用する方式が発明され、それには回転子に電気を送るブラシが必要でしたが、回転子を銅で作ると磁石の無い(ブラシの不要な)電動機が作られるようになりました。
電気の需要(ほとんど電灯用)が増大すると、送電や配電に最も適しているのが3相交流で、3相交流を使用して、大量の電気エネルギーを送って、大きな動力に変換するための機械である3相電動機の開発が進められ、1890年にミチェル・ドブロウスキー(Michael von Dolivo-Dobrowlsky)によって工場等で広く使用されている3相かご型誘導電動機が発明されました。
この電動機は直流機に比べ、ブラシ、や清流子が不要なことから構造が簡単で、信頼性が高く、大きな力を出すことができました。
この電動機は3相交流によって回転磁界を作り、回転磁界の中に導体で作った「かご(鉄製の回転子に導体の「かご」を埋め込む)」を入れると導体に電磁誘導の法則にしたがって電流が誘起され、その電流と磁界の相互作用によって導体に回転力が発生し、回転子が回転します。
3相回転磁界の原理
下図では位相が120度異なる3つの電源(3相電源)によって作られる磁界の向きは電源周波数と同じ回転数で回転することになります。
かご型誘導電動機
この、回転磁界の中に回転可能な導体を置くと、導体には電流が流れ、その電流は磁界と相互作用して回転力を生じます。
導体で形成された「かご」を回転する磁界の中に入れたのがかご型誘導電動機です。
磁界中を移動する導体に電流が誘起され、その電流の向きはフレミングの右手の法則で決定されます。その電流によって生じる回転力の方向はフレミングの左手の法則によって決定されなす。
ここで、導体の移動方向は相対的なものですので磁界の回転方向の逆になると考えればフレミングの右手の法則を適用することができます。導体の移動速度は回転する磁界の上下方向の成分になります。