伝導体(電気伝導体、良導体、導体conductor))は電気を通しやすい材料のことです。一般に電気抵抗が低い金属で、電線などに利用される電気材料です。
金属
固体の金属は金属結合と呼ばれる特殊な結合方式で、硬くて、特有の光沢(金属光沢)があり、電気的には固体内部に電荷の移動を可能にする自由電子が存在することから、電気を通し易い性質(電気伝導性)があります。
金属の電子的な構造(バンド理論)は伝導帯と価電子帯が重なっています。
導体の物性値
導体の種類
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金
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銀
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銅
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鉛
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亜鉛
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錫
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鉄
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アルミ
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元素記号
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Au
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Ag
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Cu
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Pb
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Zn
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Sn
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Fe
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Al
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原子番号
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79
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47
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29
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82
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30
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50
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26
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13
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電気伝導率;20℃(日本軽金属) (10の6乗ジーメンス/m) | 45.5 | 61.4 | 59.0 | 4.8 | 16.8 | 7.9 | 9.9 | 37.4 |
電気伝導率;0 ℃(コットレルの「金属学」) (同上) | 49 | 66.7 | 64.5 | 5.2 | 18.1 | 10 | 11.2 | 40 |
電気伝導率;(hyperphysics)(同上) | 45.5 | 62.1 | 58.8 | – | – | – | 10.2 | 36.5 |
共有結合半径 (pm) | 144 | 153 | 138 | 180 | 135 | 145 | 125 | 118 |
フェルミエネルギー(Fermi Energy) (eV) | 5.53 | 5.49 | 7.00 | 9.47 | 9.47 | 10.2 | 11.1 | 11.7 |
フェルミ温度(Fermi Temperature) (10の4乗K) | 6.42 | 6.38 | 8.16 | 11.0 | 11.0 | 11.8 | 13.0 | 13.6 |
フェルミ速度(Fermi Velocity) (10の6乗m/s) | 1.40 | 1.39 | 1.57 | 1.83 | 1.83 | 1.90 | 1.98 | 2.03 |
密度 (kg/m3) | 19300 | 10490 | 8920 | 11340 | 7140 | 7310 | 7874 | 2700 |
原子量 | 196.97 | 107.87 | 63.55 | 207.19 | 65.38 | 118.710 | 55.85 | 26.98 |
結晶構造 | 面心立方 | 面心立方 | 面心立方 | 面心立方 | 六方最密 | 正方晶 | 体心立方 | 面心立方 |
融点(K) | 1337.33 | 1234.93 | 1357.6 | 327.46 | 692.68 | 505.08 | 1808 | 933.47 |
熱伝導率 (W/m・K) | 317 | 429 | 401 | 35.3 | 116 | 66.6 | 80.2 | 237 |
光の反射率(%)赤色(波長700nm) |
97.0 | 98.5 | 97.5 | ? | ? | ? | ? | 89.9 |
金
金(Gold)の元素記号はAu、これはラテン語の「光るもの」 aurum に由来しています。
金は単体では金色と呼ばれる光沢のある黄色い金属で、最も薄くのばすことができる金属で、人類が最も愛している金属かもしれません。金の輝きは人々を虜にしました。
錬金術
初期の科学者達の目指した目標は、水銀など他の物質から金を作り出す錬金術でした。金を生み出すことができる物質は賢者の石と名付けられ、賢者の石を作ることに多くの努力がなされました。その試みの全ては失敗に終わったのですが、その過程で発見された多くの事象を基にして、今日の化学は成り立っています。現代では、金を始めとする貴金属の合成は、加速器などを用いて、ある元素から他の元素に核種変換することで可能ですが、生産性が極めて低く、非常に高価になることから実用には至っていません。
宝飾用
金はほとんどの化学物質に対して腐食反応を示さないことから、変色も少なく、貨幣や装飾品に古くから使用されてきました。宝飾用金製品のほとんどが18金で、この18金は金以外の金属の配合やその比率によってさまざまな色合いを出すことができます。また、 平面状に伸ばしたものを「金箔」といい、糸状に伸ばしたものが「金糸」です。
歯科治療用
古代エジプトで歯の治療に金線が使用されてから歯科治療には欠かせない重要な金属です。歯の治療には通称「キンパラ」と呼ばれる「金銀パラジウム合金」が使用されますが、それは主成分の銀に金12%、パラジウム20%が入っているものです。
電気通信機・機械部品用
銀や銅に次いで電気を良く通すこと、化学的に安定していることと加工しやすく、特に、酸化皮膜が出来にくいことから接触抵抗が低いのが特徴で、ICなどの微細な接続等に使用されます。
金の純度表示
金の純度は24分率で表されます。純金を24金または24カラット(Karat K24)とし、金の含有率を数値化したものです。
例えば、18金は金の含有率(=18/24=3/4)75%です。
18金について
純金は柔らかいので、磨耗や変形を防ぐために宝飾品のほとんどが合金になっています。
18金は全体の75%が金で、残りの25%には銀や銅等を混ぜますが、その配合によって色合いが変わります。 (詳細は金の歴史 を参照してください)
銀
銀(silver)の元素記号の Ag はラテン語での名称「argentum」(輝く物)に由来しています。
室温における熱伝導率と電気伝導率、可視光線の反射率はいずれも金属中で最大で、光の反射率が可視光線領域全体で高いことから白色に近い光沢があり、「しろがね」と呼ばれ、金に次ぐ延性および展性があり、宝飾品としても広く利用されています。
貴金属の中では比較的化学変化が発生し易く、特に、砒素化合物などの毒物で黒く変色し異変を察知できるという説があり、古くから支配階級や富裕層で食器に利用されてきました。
古来、貴金属のひとつとして、貨幣にも広く利用されてきました。他に銀の高い反射率を利用した蒸着利用、抗菌性の利用、写真への利用、歯科医療への利用、宝飾品としての利用などがあります。
銀の電子工学分野への応用
銀は金属の中で最も電気抵抗が低いことから導電性の良い導体として利用されますが、電圧がかかっている状態において湿度があり、絶縁間隔が狭い状態で長期間使用すると絶縁性が低下し、短絡するなどの現象(銀移行silver migration)が発生する可能性があり、使用に際しては注意が必要です。
銅
銅(Copper)の元素記号の Cu はラテン語の cuprum からきていて、cuprumはCyprium aes(キュプロス島の真鍮)で、地中海の東側でトルコの南にあるキプロス島のフェニキアに銅の採掘場があったことに由来しています。
金属では銀の次に導電性が高く電線の材料としてよく使われています。
アルミニウム
アルミニウム(Aluminum)原子番号13、元素記号Al、常温常圧では良い熱伝導性・電気伝導性(導電率 37.7 × 106/m・Ω)を持つ金属で、融点660.2℃、密度2.7g/cm3、常温では面心立方格子構造、侵されやすいが、空気中で表面に酸化膜(アルマイト)ができ、内部は酸やアルカリに侵されにくくなる。
ミョウバン(アルミニウムの化合物)から未知の新元素を発見したデービー()はミョウバン(alum)表すラテン語の単語 Alumen から、その新元素にAlumium 後にaluminumと名付けました。一時元素名の最後に”ium”を付けるようになったことからaluminiumが使用されましたが、1925年の米国化学協会(American Chemical Society)ではaluminumに戻されました。
1900年大に銅の価格が高騰したことから、安価なアルミニュウム線を使用した送電線が作られるようになり、アルミニュウム送電線が広く使用されるようになりました。
鉄
元素記号の Fe はラテン語での名称「Ferrum」に由来しています。
鉄(iron)は比較的加工しやすく、入手しやすい金属であるため、人類にとって最も利用価値のある金属元素です。
青銅器に比べるとそれよりも高度な温度管理や冶金術が必要になるため、青銅器に遅れて、紀元前15世紀ごろにヒッタイトで鉄の武器が作られ、メソポタミアを征服しました。武器としての利用の他に農作業の効率化をもたらし、鉄器を利用する時代(鉄器時代)の始まりとしています。特に、産業革命以後は産業の中核をなす材料であり、「産業の米」などとも呼ばれ、「鉄は国家なり」と呼ばれるようになりました。
電気機器の構造材としてよく使われています。
錫
スズ(Tin)は原子番号50の元素で、元素記号は Sn。元素記号はラテン語の stannum に由来します。stannumは銀と鉛の合金でしたが、4世紀ごろよりスズを stannum と呼ぶようになりました。
石器時代に5%程度の錫を銅に混ぜることで青銅ができ、純粋の銅よりも硬くなり、融点が下がることから加工(鋳造)しやすくなり、広く使われるようになったことから、非常に長かった石器時代から青銅器時代へと人類の文明が大きく変わり始めるのです。
鉛(Lead)
元素記号Pbはラテン語での名称 plumbumで、柔らかい金属を意味し、plumbum nigrum(黒くて柔らかな金属)が鉛で、plumbum candidum(明るくて柔らかい金属) は錫を意味していたことに由来しています。錆で覆われた表面は鉛色と呼ばれる灰色となます。(詳細は鉛の歴史 金属の接合法はんだを参照してください)
亜鉛
亜鉛(Zinc)は古くから銅との合金である真鍮として使用されて来ました。
亜鉛は青味を帯びた銀白色で、湿った空気中では錆びて灰白色になっています。
1836には亜鉛メッキ(Hot-dip galvanizing)がフランスで発明され、鉄の防錆に有効な手段として活用されています。