原子中の電子の角運動量(Angular Momentum)について解説

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 電流がループ状に流れると磁気モーメントが発生します。そしてこの磁気モーメントがを持った電流ループが磁界中にあるときに受けるトルクは磁界と磁気モーメントの積に比例します。

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原子モデルで考えると電子は原子核の周りを回転していると考えることができます。そして、電子は電荷を持っていますので、電荷の移動は電流(電子の回転方向とは逆周りの電流です)ですので、上の電流ループを構成し、磁界を発生させます。その強度は水素原子の場合は約0.4テスラ(T)です。この磁界と電子のスピンによる磁気双極子モーメントとの相互作用によって力(エネルギー)が発生します。

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原子に含まれる電子は電子軌道を回転しているときの角運動量はボーアモデルで計算されますが、量子力学ではこの角運動量(L)はシュレジンガーの式によって量子化され、軌道角運動量子数(l)から以下のように求められます。

 また、スピン角運動量(電子の磁気双極子による角運動量)も同様にして±1/2とされます。

 

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合成角運動量(軌道角運動量とスピン角運動量の合成)

 外部磁界中で電子が持つ角運動量との相互作用を考えるとき、軌道角運動量とスピン角運動量はその方向が異なることからベクトル合成されますが、その値は量子化されるますので、飛び飛びの値が与えられます。

 電子の軌道、電子のスピンの方向は一定ではなくある幅で振動していて、こまの軸が振れるような歳差運動をしていると考えることができます。

 

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