プランクの実験(プランク定数・プランクの量子化説)について解説

シェアする

 ある金属(原子)を高温の炎の中で熱すると独特の色をした光を出していることが知られていました。

 その 光の波長毎(分光)の強さを観測するとある幾つかの波長のところだけに強い輝きがあって、その他では光の輝きが無いことがわかっていました。プリズムに光を通すとその光が虹のように広がり(波長毎に光が分かれる現象を分光といいます)ます。その光の波長を帯状にした中で ある波長のところだけが縦線になって輝くことを光のスペクトル線とい、それぞれの原子に特有のパターンがあることがわかっています。

 また、太陽の光を調べると、ある特定の波長のみが輝きがない黒い線があることが知られていて、それはある光が吸収されて無くなったと考えられていて、それを吸収スペクトル線といいます。

 19世紀の終わりごろには、鉄の精錬が盛んになり、溶解した鉄の温度はその色を熟練工が目で確かめながらの作業で、その成果に大きなばらつきが伴いました。そこで、鉄の温度管理が重要な課題になって、光のスペクトルが研究されるようになっていました。

  そこで、ある温度の物体がどのような光を出すかが問題で、それらの代表として黒体(すべての光を吸収する物体(真っ黒な物体))を炉内で加熱し、炉に開け小さな穴から出てくる光の強さを炉内温度と光の波長毎に観測したものが、黒体放射(Black body radiation)ですが、その特性はそれまでの知識では解釈できない現象を含んでいました。

 現実には黒体は存在しませんので、外部から光が入らない空洞内部を高温に加熱しそこで発生する光が反射を繰返す場合には黒体に近い特性を持っことが知られていて、その光を小さな穴から取り出して分光器で光の波長毎の強さを観測しました。

 

f:id:BNB:20190420165854g:plain

 この観測結果を古典的な理論(Rayleigh-Jeans Law)等では表現ができませんでしたが、これを数学的に表現したのがプランク(Max Planck)の放射方程式(Planck Radiation Formula1900年)です。

 

f:id:BNB:20190420165907g:plain

プランク定数 

  この式に使用されているプランク定数(Planck’s constant)の物理的な解釈は当初理解されていませんでした。後にナトリュウム原子に光を当てるとそこから電子が放出される光電効果の実験で、放出される電子の持っているエネルギーとその電子の振動周波数を測定したところ周波数と電子のエネルギーには比例関係があり、その比例定数が求められました。

 

f:id:BNB:20190420165939g:plain

プランクの量子仮説(Planck Hypothesis)

 上記の実験から光のエネルギーはプランク定数と周波数の積でありとする考え方(プランクの量子仮説)が出てきて、個のプランク定数が最小のエネルギーの塊(これよりも小さく分割することができないエネルギーの最小値)と考えられ、これがエネルギーの量子と呼ばれるようになり、量子論のスタート地点となりました。

  エネルギーの他にもいろいろな物理量が最小の塊(このような状態を量子化されているといいます)から成り立っていることがわかってきました。例えば、電荷には素電荷と呼ばれる電子1個が持っている電荷の最小値があります。

 このようにして、宇宙の始まりや物質の本質を解き明かす量子力学の歩みが始まりました。

 

f:id:BNB:20190420165950g:plain