1820年エルステッド( H.C.Oersted)は電流による磁力を発見しており、1831年、ファラデー(M.Faraday)は磁石とコイルの相対運動によって電流が流れることを実証しました。それは電磁誘導(でんじゆどう electromagnetic induction)という現象で、コイルに磁石を出し入れするとコイルに電流が流れ、逆にコイルに電流を流すと磁石に力が生じるることを発見したのです。
つまり、磁束を変化させると電荷を動かす(電流を流す)ことができ、電荷が動く(電流を流す)と磁界が発生し磁石に力を及ぼす現象で、発電機や電動機(モータ)の原理になっています。
電磁誘導の法則
静止している導線の閉じた回路を通過する磁束(鎖交磁束)が変化するとき、その変化を妨げる方向に電流を流そうとする電圧(起電力)が生じる。
ファラディの誘導リング
1831年8月29日にファラディ(Michael Faraday)が電磁誘導の説明用に誘導リング(induction ring)を作りました。これが最初の変圧器です。
最初は木製の円環に電線を巻いたものでしたが、次に作ったのは鉄の円環に電線をまいたものでした。
エルステッドによって発見された磁気と電気の関係をより詳細に調べるために木製の糸巻きに各種の電線を巻いて、その一つを電池に接続して、その他の電線で電流を測定しました。そして、電池に接続したスイッチを入切したときだけに電流が少し流れることを発見したのです。
そこで、鉄製の輪に二つの電線を近づけて巻き、一つを電池に接続して、その他の電線で電流を測定しましたところ、スイッチを入切したときに大きな電流が流れました。
この実験の意味するところは、磁気から電気が発生しているように見えました。すなはち、オルステッドが電流によって磁気が作られることを発見したのですが、ファラディーは磁気から電気が発生することを発見したのです。これが電磁誘導と呼ばれる現象で、このとき使用した誘導リングは変圧器の原型でした。