素粒子の持つ基本的な性質のひとつで、“量子力学的自由度“(素粒子を区別する性質)で、素粒子が自転していると考えることにしてスピン(spin.)とよんでいます。
電荷を持った粒子が磁界内で運動すると力が発生しますが、電子は磁界内で力を受けることが発見され、(どのような仕組みによって力を受けるのかわからないのですが)電子が回転しているように見えることからスピンと名付けられています。
これは、アルカリ金属(周期表を参照)の発光スペクトルの研究中に、電子は磁界内で受ける力には2種類の力があり異なったスピンが存在することが1924年パウリ(Wolfgang Pauli)によって発見されました。
スピンとは量子力学上の粒子が持っている本質的な角運動量であり、粒子の質量の回転運動ではないことに注意しなければなりませんが、電子の場合は点粒子であり、古典的な自転とは異なり、機械的な運動量としてのベクトル(速度と方向)で表示できません。しかし、電子には2種類のスピンがあり上向き(up)下向き(down)と呼んでいます。
その他の素粒子、中性子にもスピンがあり、 1940年パウリは空間の回転に量子力学の原理を適用すると角運動量の値は半整数に限定され、ポーズ粒子は整数にフェルミ粒子は半整数になることを証明しました。
スピンには上向きと下向きの2種類があって、磁界に反応しない(磁性(じせい magnetism) を持たない)物質は、原子の軌道に各々同数のスピンの向きを持った電子があり、全体としては、中性になっていますが、鉄原子の場合、第三軌道にスピンが同じ向きの電子4個が不足していることが、鉄が磁界に対して強い反応をする(強い磁性を持つ)原因です。