燃料電池は水素と酸素を利用した電池で、水の電気分解の逆の原理で発電する電池である。
水の電気分解は、水に水酸化ナトリウムなどの電解質を溶解させて、これに電極を入れ電流を流し、水を分解する。
2H2O + 電気エネルギー → 2H2 + O2 |
燃料電池ではこの変化の逆を行って電気を得ようとしている。
これまでの発電は、次のようなエネルギーの変換が必要であったが、燃料電池では化学エネルギーを直接電気エネルギーに変えられるので効率がよく、CO2の生成もないクリーンな発電といえる。
化学エネルギー → 熱エネルギー → 運動エネルギー → 電気エネルギー |
問題によく出てくる燃料電池は次の2つである。
① (-)H2|H3PO4aq|O2(+) |
② (-)H2|KOHaq|O2(+) |
①の反応
(-)極 H2 → 2H+ + 2e– |
負極上では触媒により、H2の一部がイオン化してe–を放出。 |
(+)極 O2 + 4e– + 4H+ → 2H2O |
正極上ではO2がe–を受け取りイオン化し、さらに電解質中のH+と反応しH2Oになる。 |
正極と負極の反応式を合わせると次のようになる。 2H2 + O2→ 2H2O |
②の反応
(-)極 H2 + 2OH– → 2H2O + 2e– |
負極上では触媒により、H2の一部がイオン化してe–を放出。生成したイオンH+は電解 質中のOH–と反応してH2Oとなる。 |
(+)極 O2 + 2H2O + 4e– → 4OH– |
正極上ではO2とH2Oがe–を受け取る。 |
正極と負極の反応式を合わせると次のようになる。 2H2 + O2→ 2H2O |
☆ 電池と電気分解の反応は逆の反応になるので、①,②の反応はそれぞれH2PO4aq,KOHaqの電気分解(PO32-はSO42-やNO3–と同様に水が反応する)の逆の反応を考えれば各電極の反応式が書ける。