物質の三態と状態変化

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1)物質の状態と粒子の熱運動

物質を構成する粒子は、その温度に応じた熱運動をしている。また、粒子間には引力が働くため、温度により固体・液体・気体の状態をとる。

 固 体‥‥低温の状態では、物質を構成する粒子の熱運動が小さいので、粒子間の引力の影響が大きくなり、粒子は規則正しく配列して固体となる。粒子は決まった位置を中心にわずかに振動している。

 液 体‥‥固体の状態よりも温度が高くなると、粒子の熱運動も大きくなるので、粒子が一定の体積中に詰まっていて、互いに粒子間で引き合っているが、比較的自由な運動をしている。

 気 体‥‥高温の状態になると、粒子の熱運動がさらに激しくなり、粒子間の引力の影響が無視できるようになると、粒子は広い空間を自由に飛び回るようになる。

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2)状態変化とエネルギー

 固体状態の純物質を、一定圧力(通常は1013hPa )の下で加熱していくとき、その物質の状態と温度変化を図示すると次のようになる。

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3)気体

気体の分子運動

 同じ圧力の酸素と窒素をコックで分けた別々の容器に入れ、コックをあけて長時間放っておくと、容器の中は両方とも酸素と窒素が同じ割合の混合物になる。

 この現象を拡散という。拡散が起こるのは、物質を構成している粒子が、その温度に応じた運動エネルギーをもっていて、絶えず運動しているためである。この運動が熱運動である。

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(注意)分子はさまざまな運動エネルギーをもち、全ての粒子が同じ運動をしているわけではない。つまり、温度が高くなると、高い運動エネルギーをもった分子が増え、分布全体がエネルギーの大きい方へ移っていく。

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気体の圧力(気圧)

  容器に入れた気体は、熱運動によって容器の壁に絶えず衝突する。このとき、壁が受ける単位面積あたりの力を気体の圧力という。また、温度が高いほど、気体分子の熱運動が大きくなり、壁に衝突する分子が多くなるので、気体の圧力は大きくなる。(左下の図)

大気が示す圧力(大気圧)は右下の図のように一端を閉じたガラス管に水銀を満たし、これを水銀の入った容器に倒立させた。このとき、水銀柱は760mmで止まる。このとき管の上部は、ほとんど真空となるので、容器の水銀面に働く大気圧と760mmの水銀がつり合ったことになる。これを1気圧[atm]と定義している。

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1atm = 760 mmHg = 1013 hPa = 1.013×105 Pa

 

問題5 上の右図の管内に少量の空気を入れると、水銀柱の高さが450mmになった。管内の空気の圧力は何hPaか。

 

  管内に入れた空気が押した水銀は、 760 – 450 = 310 [mm]

  760mmで、1013hPaだから、310mmでは、 760:1013 = 310:x x = 413[hPa]

 

4)液体と蒸気圧

蒸気圧

気液平衡(蒸発平衡):  液体の表面からは絶えず液体分子が蒸発している。逆に、気体分子絶えず凝縮して液体に戻っている。温度変化がない条件では、蒸発と凝縮は同じ割合で起こり、見かけ上、蒸発・凝縮が起こっていない状態になっている。この状態を気液平衡の状態という。

蒸気圧(飽和蒸気圧): 気液平衡の状態における蒸気が示す圧力。

蒸気圧曲線:  温度を上げると、液体から気体に移る粒子が増えて再びその温度での気液平衡の状態をとる。このとき気体になった粒子が増えるので、蒸気圧は高くなる。この変化を示したグラフを蒸気圧曲線という。

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蒸発と沸騰:  蒸発も、沸騰もどちらも液体から気体への状態変化である。違いは、蒸発の場合、液体の表面からのみ気化が起こり、どの温度でも起こる。沸騰は、蒸気圧が大気圧(1013hPa)と等しくなったときに起こる。蒸気圧と大気圧が等しくなると、液体の表面を押さえつける力がなくなるので、液体の内部からも気化が起こる。このときの温度が沸点である。

5)状態変化とエネルギー

融解熱と凝固熱

  固体1molが融解するときに吸収される熱量を融解熱という。この熱は結晶中の粒子の配列を壊すのに使われる。また、液体1molが凝固するときには同じ熱量が放出され、凝固熱という。

蒸発熱と凝縮熱

  液体1molが蒸発するときに吸収される熱量を蒸発熱という。この熱は粒子間の引力を切ってばらばらにするのに使われる。また、気体1molが凝縮するときには同じ熱量が放出され、凝縮熱という。

昇華熱

 ヨウ素I2、ナフタレンC10H8、ドライアイスCO2などの分子結晶は、常温、常圧で昇華する。これらの物質1molが固体から液体に変化するときに吸収する熱を昇華熱という。