1)化学の基本法則
質量保存の法則
「化学反応の前後において、物質の総質量は変化しない。」(ラボアジエ)
例) 炭素C12gと酸素O232gが反応すると、二酸化炭素CO244gが生成する。つまり、この場合、(反応した炭素と酸
素の質量の和)=(生成した二酸化炭素の質量)となる。
定比例の法則
「化合物を構成する成分元素の質量比はその製法の如何を問わず、常に一定である。」(プルースト)
例) CO2はどのような製法においても、炭素と酸素の質量比は原子量をC=12、O=16とすると、12:16×2=3:8であ
る。
原子説
・「すべての物質は、これ以上分割できない小さな粒子である原子からできている。」
・「異なる元素の原子は質量や性質が異なる」
・「化合物は異なる原子が決まった数で結合している。」
・「化学変化では、原子の組み合わせが変わるだけで、原子がなくなったり、新しくできたりすることはない。」
(ドルトン)
倍数比例の法則
「2種類の元素AとBが化合して、いくつかの異なる化合物をつくるとき、一定量のAと化合するBの質量の間には、簡単な整数比が成り立つ」(ドルトン)
例) COとCO2は炭素と酸素の質量比がそれぞれ、原資料をC=12、O=16とすると、12:16と12:16×2である。すな
わち、一定量の炭素と化合する酸素の質量比はCOとCO2ではちょうど1:2になる。
気体反応の法則
「気体どうしの反応では、反応に関係する気体の体積の間には、同温、同圧のものとでは簡単な整数比が成り立つ。」
(ゲーリュサック)
例) 水素と酸素が反応して水が生成する反応において、反応した水素と酸素および生成した水の体積比は同温、同
圧で2:1:2となる。これは反応式 2H2 + O2 → 2H2Oの係数の比と一致する。
ところが、この法則は原子説では説明ができない。この時点では、H2Oは原子が結合しているだけでH2、O2やH2Oでひとつの粒子(分子)をつくっているという概念がないためで、次のような矛盾が生じる。
原子説で説明するには、上の図の体積中に原子を粒子として入れて考える。
①
同体積には同数の原子が入ると考えられるので、1体積あたり5個の原子を入れると、水蒸気は酸素原子の数から、1体積しかできない。また、水素の数は1体積に10個入っている。
②
体積比は2:1:2になっている。しかし、水蒸気は割合がO:H=0.5:1なのでH2OだがO原子が分割されている。これは、原子説に反する。
分子説
「気体は、いくつかの原子が集まった分子という粒子からなり、同温、同圧では、気体の種類に関係なく、同体積中に同数の分子を含む」(アボガドロ)
分子説ならば、気体反応の法則を説明できる。
同体積には同数の分子(粒子)が含まれる。また、「同温、同圧ではどの気体も同体積中に同数の分子を含む」という分子説の後半をアボガドロの法則という。